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剛田奇作の部屋


[259] 副主任
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

たまには顔でも見せなよ
昔の上司は、重い扉の側でそういった

もと同僚たちは私の目も見ずに、
談笑しながら自販機の前を通った


副主任はお元気ですか


私は彼女が好きだった


すごくガリガリで
どぎつい性格だった


理論武装で
後輩をやり込めるのが上手かった


自分にも他人にも厳しい人だった


みんなから嫌われていた 偉そうだった


仕事は完璧にこなして


いつも指に絆創膏をつけてた

マスカラを厚く塗った目は
いつも鋭く冷たかった

私は彼女が好きだった


無意味な事は口にしなかった


お金もちになるのが夢なんだ


いつかそう言った


やめちゃうんだ…


私にそういって
一瞬寂しい眼をした

その後はまた
氷みたいに冷たかった


私は彼女を守ってあげたかった


変な話だけど


私はよく彼女に泣かされたけど


本当は彼女の涙や
傷を
癒してあげたかった


彼女はきっと私を
鼻で笑い飛ばすだろう







2009/07/22 (Wed)

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