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剛田奇作の部屋


[280] 傷の海
詩人:剛田奇作 [投票][編集]

溺れ

溺れて

いきが でき
な い


く るし くて 慣れるなんて
到底、無理

汚物も喉につまって

もう 何年も まともに いき を

して なくて


溺れ死んだらきっと
もう溺れなくていい


でも
わた し 死にたくない


未だに 溺れることしか出来ない



世界中に溢れては 人を飲み込む


傷の海


でも わたし だてに何年も溺れてたわけじゃない

わたし わかった


傷の海にのまれて


自ら死んでしまう人もいるけど

死ねない人も、いる

生きるか死ぬかという
「選択」さえ 許されない人だって

私には死を選べるという
「自由」があるけど


もっと もっと わたしなんかの想像さえ絶する過酷な海が


世界中にあるということ


闘ってるのは一人じゃないということ


やがて その海が深すぎて

心や身体が完全に壊れてしまっても


死んでもいい 人間なんていない


あなたも溺れてる?


それでいいの

あなたの願いは生きたいということ

正しい願い


きっと傷の海を無くすのは難しいね


中には癒える人もいるけど

たぶん

ずっとなくならない


でもいつか、

泳ぐ ことなら できるはず

下手くそでも

進まなくても

傷の海

悲しみの現実を受け入れたら


浮かんでみて


もう十分
溺れて 苦しんだはずだから




2009/12/06 (Sun)

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