冷たい石の積み上げられた空間に霧が呼吸をするように揺らいでいる裸足で大地の抱擁を受け入れかつて、この甘い香が立ち込めた時泉と雨と花と夜の香霧の隙間 暗くしめった緑滴り落ちる雫 密集するような湿度シダの間を飛ぶ鮮やかな鳥たちの歌甘美な誘惑 断れないダンス薬のように強く甘い幻想に揺らぐ魂崖下に眠る意匠何事も無かったようにその甘い香は白亜期より変わらず
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