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剛田奇作の部屋


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詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

見る

見つめる

あなたを

見つめる


狭い 四角の 天井

もれた 息
髪を揺らす

鼓動と同じリズムで

波打つ 首すじ

とても とても

かすかに


見る そっと


見つめる

あなたを



ただ そのままに

許された 永い、一瞬に


少しだけ濡れた 瞳

まつげ

まばたき 、 光


見つめる


見て いる


見て いる



私の身体に備わった

二つの 黒い 眼


窓硝子が 光を 招く

青い空の はるか遠くの雲

あの雲より はるか遠く

目の前に 限りなく


あなたが


近くに 側に

もっと


見つめる 見つめる


見つめる



冷たく 高く かがやく 星

暖かい 漆黒の 宇宙


生まれはじめた ものたち


見つめる 見つめる


あなたを


かすかに揺れる 肩

呼吸、 喉

手のひらの、奥の 心臓

見つめる

記憶するためでも 確かめるためでも、

いっさいなく


教えられた 訳でも なく


見つめる

見る


何かを 埋めるように

本当に そっと
大切に 詰めるように

唯 見つめる

永遠と一瞬 が 喧嘩もしないで

あなたの向こうで ゆれる


見つめる

見つめる


ゆれる



伸ばした腕 爪の先


あなたの涙に

微笑みに


近く 深く 届く


一番 奥の あたたかい、場所


見つめつづける


触れるより やさしく

抱くより 熱く


終わらない音楽の

銀色の 音色みたいに













2013/04/01 (Mon)

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