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剛田奇作の部屋


[50] 灰色
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

ここの海岸で
地平線が見えないのは

濃い霧が いつも出ていて灰色と波の音があるだけだから

砂に足が飲まれ
靴に砂が入る

強い風の隙間に香る
かすかな、何かの
腐った匂い

古い土のような匂い

これが私の小さい頃を思い出す唯一の手掛かり


そこにいけば昔の私と話ができる

小さな私の指は恥ずかしそうにいつも
くねくねと動く

ただ今を生きていた頃の純粋な私

戻れない私

今日はお別れ、言いにきた

時間が経ちすぎて

悪かったね


2008/12/14 (Sun)

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