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剛田奇作の部屋


[75] 葡萄畑
詩人:剛田奇作 [投票][編集]



彼女が助手席で夢の話をしていたのを、思い出した



私が、あなたと森で鬼ごっこをしていたの

それでね、

あなたと、はぐれちゃってね、さ迷ってたのね

で、葡萄畑を見つけたの

…葡萄畑?

葡萄は木になるんだよ
おかしいだろ、畑って

知ってるけど
だって、夢なんだから、
そりゃおかしいわよ

…まぁ、そうだ

でね、葡萄畑に入っていったらあなたがいて

なんか、埋めてるの

何を埋めてた?

たぶん、星だと思う

ホシ、って空の?

うん、空の


あ!ねぇ、この店
行ったことないから食べてみたい!

彼女は 小さなパスタ屋を指差した


その頃の俺は、

何かを失うってことが
どんなことか、解っていなくて

失う自覚も、
覚悟も、
なかった

ただ、与えられる日常に甘んじて生きている


無知な男だった



2008/12/17 (Wed)

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