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剛田奇作の部屋


[9] 幸せの国から
詩人:剛田奇作 [投票][得票][編集]

ところできみは、
さっきからどうして
泣いているんだい?


僕の国では涙を流せる人は稀だから

なんだか羨ましいな


僕はね、幸せの国から来たんだよ


ここから、ずっとずっと遠くにあるの


僕の国では幸せしかないんだ。

えへっ

すごいでしょう?


あのね、僕らのご先祖様はね


不幸なことが大嫌いだったんだ。


だから不幸な事は全部無くしちゃったの。


それでね、ついに国ぢゅうから不幸が消えたんだ

だから不幸ってどういうのか僕よくわからないんだけど…


幸せの方がきっと素晴らしいんだろうね!


僕の国では
家族も、結婚も、学校も
仕事もないんだ。


全部不幸の素になるらしくて

王様がなくしちゃった。


それでも、万が一不幸なことがあっても大丈夫。


僕ら、楽しいこと以外ぜんぶ忘れちゃうんだ!


それに僕ら、死なないんだよ!


死は不幸の中でも一番の不幸だったらしいんだ。


だからずいぶん昔に
死は、無くなったんだよ


僕らは、永遠に好きな人たちだけと

遊んだり、話したりして
幸せにすごしているの。


きみも、一緒に来る?
涙も、二度と流さなくていいんだ。
死だって訪れない。


ねぇ、こっちの世界より絶対楽しいと思うな!


ね?僕の国においでよ!


でもね、僕らの国に来たらきっと二度と戻れなくなるけど…

大丈夫。

みんなすごく優しいんだ。
寂しくなんかないよ。


え?愛するって?


聞いたことないなぁ?


それってどういうこと?


すっごく幸せなの?



2008/12/08 (Mon)

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