詩人:剛田奇作 | [投票][編集] |
部屋はあの日のままだったわ
鍵もちゃんとかけてあったし
大きくなりすぎたパキラにも栄養剤が相変わらず刺してあった
シチューの材料を買い足しに行ってから
あなたを、グランドピアノの部屋まで連れていく わ
グリーンのカーテンは
ずっと揺れているの
不思議
あなたが買ってきたサーモンの缶詰
勝手に食べちゃったのよ
この部屋にぬめるような緑の水が満ちてから
もうどのくらい経つ?
嫌いじゃないけど
たまに私を困惑させる
爬虫類のようにね
飾ったガラスの瓶の中から
あなたが裸で見つめてる
みどりの瞳、イルカになったつもり?
ギラギラと太陽の照りつく正午
この部屋は冷え切るの
だから早くグランドピアノの部屋にきてね
時計は外してあるから
白い壁をつたう 緑の水
もう気にするのはよしましょうね