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蛍の部屋


[58] 「必要ない存在」
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走り去ってゆく後ろ姿

「追いかけてきて」と言ってくれても

この足が許してくれない。

瞼を閉じて、ゆっくり耳を澄ます

聞こえてくるのは絶望という悲しき泣き声。

その涙を拭ってやれるのは

その震えた肩を抱いてやれるのは…。

君が崩れ落ちる前に

君が粉々になってしまうまえに

けれど僕の腕はどんどん腐ってゆく。

君にとって必要なのは僕の腕じゃない。

君にとって必要なのは僕という存在じゃない。

逃げ去ってゆく後ろ姿

「助けて」と言ってくれても

この手が許してくれない。

2005/06/24 (Fri)

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