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たかし ふゆの部屋


[40] あらゆる夜
詩人:たかし ふゆ [投票][編集]

五月が終わる前に
終わらせておきたいことを整理しようと
生暖かい街へ出る
トーキョー
灯りの無い路
脇に寄せられていた猫の死骸
迷惑メール
矢継早
目に入ってくる定まらない気持ちたち


瞬く星の
何百年も前の光への恍惚
ベイルート
今ここに居ない人達の
日本に居ない無数の人達の
同じものへの眼差し
あられもない生と死が
国という違いだけで突き付けられる
はたして平等とは
実体の無い正義と願いが渦巻く
嘘が救う世界と無縁でいられる僕らの
在らざる善


生きているということを
あらゆる夜の中に見る
僕の眼

整理できずに破り捨てた「ラヴアンドピース」の詩片

よろけそうになる
風の音の喧しさ





2018/05/21 (Mon)

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