詩人:たかし ふゆ | [投票][編集] |
触れた手の感触を覚えているのに
顔を思い出せない
安直な会話だったはずなのに
メールの中身を思い出せない
何故だろう
自作したカクテルの味がイマイチで
メロウソーダと
適当に名前をつけておいた
水槽の中のディスカス
適当な世界に生まれてきた
適当という名の奇跡
あるいは、偶然とも
忘れるのではなく
追体験して折り合いをつけなさいと、誰かが言った
輪廓はとても大事なものなのに
輪廓のままでしか、思い出すことが出来ない
それを
誰かはきっと美しいと言う
無責任な誰かの無責任な言葉が、心を抉る
それはきっと偶然なのだ
この世の大概のものは
ただの偶然の塊なのだ
息をして
吸って、吐いて
偶然、僕らは生きている
まごうことは無い
道の中で出会い、別れたあなた
道の中でこれから出会う、だれか
偶然さ
ただ、人によって価値は違うのだとしても