詩人:イデア | [投票][編集] |
春が来た
きみは笑う
日向暖かく
風は穏やか
夏が来た
きみは歩く
陽射し眩く
風は吹き立つ
秋が来た
きみは独りを知るだろう
空は遠退き
風は冷たい
冬が来る
孤独を恐れ塞ぐ耳
側で見守る人の顔さえ見えない夜
空は翳り
風が身を切り
目を潰し
泣き腫らしても
多くの物をひと時失い
そして取り戻す頃
きみはまた春を迎える
ようこそ世界へ
光眩く
風は優しい
2016.06.15
ポッキーの日に生まれたきみと
母ちゃんになった友人へ
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夢を見る。
灰色のアスファルト
夏の陽射し
私は芋虫で、やけに熱い地面を這っている。
どこに向かっているのか なぜ向かっているのか それは知らない。
目的は、しかし確かにある。
なぜか分からずとも私は必ずそこに行かなくてはならない。どことも分からぬそこに。
目が醒める。私は泣いている。
なぜ泣いているのか 何に泣いているのか それは分からない。
私は私であり、眼前に翳した手は芋虫の形をしていない。
朝日が射す。
目覚ましが出社までの刻を数える。
やるせなさが肩と胸とを柔らかく押さえ込み、やがてゆるりと悲しみに変わる。喉を刺す。嗚咽に変わる。ああ、そうかーーー
そうか 私は芋虫なのだ
向かう先も理由も見えぬまま、もぞりもぞりと突き進む、あの芋虫なのだ。
夢と現実がない交ぜになって私をかき混ぜる。
朝日が眩しい。影が貼り付く。
一日が、始まる。
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もう寝なさいと警告音
夜は終わって朝の時代
白んだ空が こんにちはって 微笑みながら
ふらふら頭
きりきりお腹
瞬いた目に 綺麗な町が ほら窓から
こんにちはって微笑うから
だから
もう寝なさいと警告音
嫌なことは細い月がみんなみんな連れてった
だからもう寝なさい
安心してもう寝なさい
と
空のこえ
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熱過ぎるくらいの体温が
足先に触れる
湿り気を帯びた毛がふさりと
指の間に入り込む
私たちは布団の中で それ以上干渉もせず
違う夢を見る
寝返りを打つ
あなたの方を向く
お腹の辺りが淋しくても
あなたは知らんぷりね
少し長く足を伸ばしてあなたを押したら
あなたはにゃあとも鳴かずもぞり
また丸くなって
眠ってしまったの
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緑が揺れる 夏が吹きつける
ひかりに満ちた私の惑星で あなたがわらう
それは西洋絵画の乱反射
原色の粒がこだまする 愛が色めきたって吹きつける
ひかり満ちる 私の惑星
夏が揺れる
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涙に濡れるのは
頬でしょうか
心でしょうか
名も無い夜にあなたを思います
遠く帰らぬ日々へと去ってしまったあなた
泣いたり、笑ったり、怒ったり
いつだってあなたは思い出の中に息づいていて
触れることは出来ない
名も無い夜にそっと名前を呼んで、ともすれば
会いに行きたくもなるけれど
あなたはそれをきっと望まないから
こんな夜はただあなたの笑顔を思うのです
街の明かりが星を隠してしまっても
いつかあの山で見た満天の輝きが その心を癒していたように
鈍くぬかるむ社会の泥濘に喘ぐ私を
あなたの言葉は救ってくれる
今までも、そして今でも
あなたは一献の清水でした
暑く焼けるような夏の日の
あなたは一筋の風でした
うなじをかけ、清らにしてくれる、あの風でした
清水でした
名も無い夜にあなたを思います
深く呼吸イキ-をして、あなたを思うのです