詩人:黒夢 | [投票][編集] |
まだ少し、雨の匂いが残る 雨上がりの午後に。
僕はすれ違おうとした男に問われた。
「貴方は神を信じますか?」
僕は何も言わなかった。
『神様がいれば、こんな辛く悲しい現実はないだろう』
そう思ったけれど、僕は心の中に止めておいた。
僕だって時々神頼みをするから。
都合のいい時だけ、名だけの神様を利用する。
なんて身勝手な生き物だろう。
こんな人間が多いから
【神様】は何も叶えてくれなくなったのかもしれない。
僕は、話しかけてきた【神を信じる】男を無視して
ぼんやりとそんなことを思った。
【いつも通り】の街の光景。
誰かが泣いていて、誰かが笑っている。
誰かが不幸になって、誰かが幸せになる。
僕はそれにも目を向けず、ただ自分の道を行く。
誰にも平等で、全能な【神様】という名の存在が
少し嫌いになった雨上がりの午後。
顔を出した太陽が、ひどく眩しかった。