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黒夢の部屋


[146] 歌で泣いた日
詩人:黒夢 [投票][編集]

さよならを、告げた人がいた。
振り向かない背中に、密かにだけど。


さよならを、告げた人がいた。
消えない思い出に、新しい何かで上書きするように。


さよならを、告げてくれない人がいる。
憎いほど優しくて、結局そのままで今も。


腐れ縁の、友人がいる。
さよならを告げたあの人を知っている、嫌いな奴。


奴から聞いた、歌がある。
苦しいほどに、心を締め付ける詞。


気にすることなかった想いが、今更溢れる。
この涙をあの人に拭ってもらえたらと、夢見た。


さよならを、告げた人がいた。
届け届けと、強く願いながら。


さよならを、告げた人がいた。
優しすぎる思い出が、早く消えるように。


さよならを、告げてくれない人がいる。
しつこい私を鬱陶しいと思って、姿を見せて。


さよならを、告げられない人がいる。
こうして今も、詩にするくらいに。

2005/11/06 (Sun)

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