詩人:黒夢 | [投票][編集] |
さよならを、告げた人がいた。
振り向かない背中に、密かにだけど。
さよならを、告げた人がいた。
消えない思い出に、新しい何かで上書きするように。
さよならを、告げてくれない人がいる。
憎いほど優しくて、結局そのままで今も。
腐れ縁の、友人がいる。
さよならを告げたあの人を知っている、嫌いな奴。
奴から聞いた、歌がある。
苦しいほどに、心を締め付ける詞。
気にすることなかった想いが、今更溢れる。
この涙をあの人に拭ってもらえたらと、夢見た。
さよならを、告げた人がいた。
届け届けと、強く願いながら。
さよならを、告げた人がいた。
優しすぎる思い出が、早く消えるように。
さよならを、告げてくれない人がいる。
しつこい私を鬱陶しいと思って、姿を見せて。
さよならを、告げられない人がいる。
こうして今も、詩にするくらいに。