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黒夢の部屋


[18] 雨の夕方
詩人:黒夢 [投票][編集]

大きな音がして、ぼんやりと顔を上げた。

ドラマで見るように、水色の傘が宙を舞った。
それにあわせて、ゆっくりと、本当にゆっくりと
実際は一瞬なんだろうけれど
人の身体も宙を舞った。

心臓の音が、自分にもよく聞こえて。
『コワイ』
考えるよりも先に、僕は事故現場を通り去った。

何度も何度も
宙を舞う傘と、人の身体が、頭の中で再生されて。

救急車を呼ぶべきだった?
人を呼ぶべきだった?
それよりあの人は無事だった?

『ボクハナニヲスベキダッタ?』

僕は僕が大嫌い。
判断力のない自分が大嫌い。
他人任せになる自分が大嫌い。

『ナニモデキナイボクガ、ダイキライ』

また頭の中で、あの日の出来事が再生される。
こうなることが分かっていたら
別の道を歩いていたのに。

そんなことを考える自分が
世界で一番、大嫌い。


2005/01/08 (Sat)

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