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あやめの部屋


[14] 果たせなかった約束
詩人:あやめ [投票][編集]

この歳になって初めて人の命の大切さを知った。
あいつは最期にとても大切な事をうちに教えてくれたんだ。
教えてくれるのは鉄棒くらいで十分なのに。
まさか初めて喪服に袖を通すのがあいつのためなんて…。

あんなに電車が進むことを嫌だと思ったことはなかった。
あれほど真剣に時間が戻ればいいのにって思ったことはなかった。
線香をあげて、チーンってならしたら(名前忘れた…)、
それまで押さえてた感情が一気に溢れ出して涙が止まらなかった。
あれほど溢れる感情を抑えることができなかったことはなかった。

また連絡するっていってたのに。
大人になったら一緒にフレンチ行こうねって言ってたのに…。

まさかこんな形で再会するなんて思わなかった。

もう、永遠に果たすことの出来ない約束。
決して果たされない約束。
人間、いつかできるじゃ駄目なんだ。
いつかっていう曖昧さは心地いいけど、時間は、運命は待ってはくれない。

あいつの寝顔はすごく可愛くて、うちの名前を言いながら今にも起きてきそうな感じだった。
どんなに夢だと思いたくてもやっぱ現実だったみたいで。

「おまえなにメソメソしてんだよ」って怒って欲しかった。
「メソメソなんかしてないさ。お前のお陰でみんな悲しいんだよ」って言い返したいよ。

でも、あまり凹んでても怒るから頑張るよ。
頑張って普段通り生活してるよ。
それも限界になりつつあるけど。
あと少しだけ…。凹んでいてもいいかな?

2007/06/04 (Mon)

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