詩人:JAM | [投票][編集] |
最後温かいあなたの手が
ギュッと握る
冷たくなったわたしの手を
温めるように
その手を振りほどくことなど
できるはずもなくて
わたしはただ
想いを込めて
ギュッと握り返す
これが最後だと
これがあなたのぬくもりだと
涙さえ
こぼれなかった
陽気に
切なく
悲しく
笑うしかなかったわたしの
傷を
あなたは
知っているでしょう
"今までありがとう"
と
言わなかった
言えなかった
言えるはずもなかった
まるでそれが一生最後みたいで
悲しすぎて
"ごめんね"
と
言ったのは
優しいあなたを知っているのに
あなたを憎んでしまったから
あなたの残した傷を
わたしの中に一生刻み込んで
誰も癒さないで
誰も触れないで
生々しく
痛々しく
美しく
傷を残して
あなたの笑顔も
あなたの横顔も
笑うと細くなる目も
やわらかい頬っぺたも
温かい手も
わたしを抱きよせる腕も
寄りかかる胸も
くせのある歩き方も
かっこつける時のくせも
子供のような目も
少し高めの声も
あなたの歌声も
あなたの弾くギターも
ドラムも
ちょっと太い指も
細く引き締まった腰も
半分ない眉も
全部全部
わたしの見てきた全部
そのいとおしいあなた全部を
一生の傷にして
わたしの一部に刻み込んで
"頑張ってね"
と
言ってしまえば
終わってしまうって
分かっていた
あなたの未来に
わたしがいてほしいけれど
今は
背中を押してあげるしかない
わたしの悲しみの代償が
あなたの目指すもののチャンスとなるなら
あなたのために
幾粒もの涙を流しましょう
"もし今後
また誰かと一緒に歩いていきたいと
思う時が来たら
他の子じゃなく
わたしを選んでほしい"
That is all
あなたの
優しい嘘も
優しい傷も
まだ
ずきずきと
わたしの中で
泣くけれど
その痛みは
一生
続けばいい
あなたの居場所は
ここにもあるよ
と
優しく痛めば