詩人:カクレクマノミ | [投票][編集] |
いま椅子に座っていることも
さっき煙草を吸ったことも
目の前に転がっているガラクタの配置も
運命。
いま聴いているクラプトンも
さっき聴いていたツェッペリンも
目の前に転がっているダサいピックの配置も
運命。
いま噛んでいるガムの味も
さっき飲んだコーヒーの銘柄も
目の前に転がっているカポタストの配置も
運命。
命をゴールまで運ぶ為の道
そんな言葉なら信じない
そんなものなら信じない
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なんてことだ
どうしたことか
僕は何も持ってはいない
掴んでは投げて
拾っては捨てて
幾億もの線を越えても
自我がうるさくて聞こえない
ほかのひとだって
そうかもしれない
かもしれない
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直線の先で待っているサカナ
音もたてずにじっと
見ているものは何だろう
地上の空想世界か妄想か
そこには音はありますか
そこには光がありますか
幸せそうな顔をしてますね
糸を張りつめて
意図をばら撒いて
矛盾の先に溢れ出た青い反発も
口をついて出た
深海の鼓動
教えてくれるかい
少しだけでいいから
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ねぇ泳いでみてよ
青くてきれいなサカナ
僕は得意になって泳いだ
何十キロも何百キロも
何千の波を越えて
何万のサカナを横目に見て
気づいた頃には周りは氷
見たこともないようなサカナと動物
これはなんて感情だろう
胸ビレのあたりがスースーする
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冷たい青と透明が流れて
水槽は青だけを拾う
時間をかけて存在をかけて
らせんの常
伸びないガラスには焦燥を
脆いガラスには驕りを
察したサカナがいっぴきにひき
泳ぐのも疲れたかい
意外と深い水槽は傾いて請う
右から左の水の思惑
形にした感情はすぐに原形を忘れ浮遊
悠々もまた回路に流れて落日
纏まりのない円をいくら越えても
すべては線を越えたしずく
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淀んだ色の青の中
どちらへ行けば正解か
迷い迷って着いた青
こちらも淀んでしまってる
かすんだ先のそのまた向こう
意識と青の嘆き世界
無色透明無味無臭の心の奥に
小さな反発の光
随分遠いな
五感の鈍りか
色を変えて形を変えて
音の高低をも変えて
鬱陶しさと苛立ちの波を越えて
正しさの向こう側
どちらにしても前進前進。
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目をつむる
水槽の中は黒
深海の世界
錯覚の円
不確定要素と意味と歴史
あまり深く潜ると息がもたないよ
遠巻きに声
水音
泳ぎを見てくれ
心内に広がる感情は流れる
流れ流され竜宮城
常の螺旋は此処に
円はいずれコロニーに
全部錯覚だとすごく助かる
縁
終焉
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その色は形を変えて
その色は音を変えて
その色は世界を変えて
青が全てではなくとも
赤がもてはやされようとも
緑が流行ろうとも
飲み込んでしまえば一緒
色の無い言葉で砂になる
ざらつく芯
無理に飲み込む言葉
違和感の根っこ
引っこ抜いたら世界が変わるかい
良い方向に進んでくれるかい
虹色の雨が降るかい
これなら傘はいらない
ハンカチもいらない
涙もいらない
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ころころ転がって落ちた
痛みなんてなくって
でもどこか痛いような気がして
池に落ちた
底なんて見えなくって
どんどん下に落ちていって
無の回想と根源
嘘でできた平静
安堵の虚勢
水族館のお客はきれいなサカナを見に来て
きれいなサカナはお客を楽しませ
天井の酸素たちを見上げる
知ってか知らずかその他のサカナ
勘違いの目
誇大な妄想
思い出すと少し笑える
滑稽の挙動よ
情緒の揺れよ
もっと静かにしておくれ
明日も早いんだ