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もとりの部屋


[62] 逢えない夜。
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貴方の電話番号

発信ボタンまで指を滑らし

直前の所で 手を離す



もう夜だし

忙しいかもしれないし


誰にいう訳でもない言い訳を並べ立て

自分に聞かせるように一人ごちる



掛けるつもりもない癖に

掛けることすら出来ない癖に



声を聞きたい衝動と

弱気な自分が

混ざり合い

溶け出す


ねぇ

逢いたいよ

側に居たいよ

泣きたいよ



言えない言葉は霧散して

暗闇に溶け出し

消えていく


鳴らない電話を

握り締めたまま



2014/06/02 (Mon)

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