詩人:あいる | [投票][編集] |
ひねくれた虹がそこにあった
きれいな夢はみせてはくれない
そもそも何が綺麗かわからない
なないろの鈍い光は体にのしかかるから
よけいな夢を見せるから
そこでもう一人の自分は
嘘の感情で固められた服を体に縫い付ける
よそ行き顔の生きたマネキンから
汚い疲れた笑顔が
縫い目から歪んで隠しきれずわいて出てくる
ぼくはまだその場所から動けずにいる
この夢が覚めたら
ボクはボクだかわからない
眼を閉じる
色はなく闇に浸食され
浅い眠りにつく
ぼくはまだ目蓋の裏の鮮やかな虹を見ている
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自分には必要ないよって退け続けてきたものが
自分にとってとても必要なものだったりする
逃げる自分を追う自分
さまざまな価値観に触れて
ボクはボクになる。
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いつでも不幸はこっちの味方
映像だけのテレビに迷わされる
聞こえるのは暗闇で見えない自由が逃げる羽音だけ
孤独という孤独
遠くの空が揺らぐ
さあ、なにから始めよう
今、手の中にある時間と過ごす日々
口笛を響かせよう
ボクにたまたま口がついていたから
どんなに明るくても
響いてくるのは羽音だけ
そんなときは
口笛を吹こう
ここにいるよって
存在を証明するんだ
見えない自由はボクの中を飛び回る
ボクは自由の中をトビマワル
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何が嫌で
何に迷って今日や昨日をみる
全てを悟ったと勘違いしている「時分」がいる
すぐそこで冷静になれという「自分」がいる
あらゆる感情と手を繋いだまま
その手を離せずに千切れそうになる
気づくと右手と左手を繋いでいるだけ
手を開くと明日がみえた
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貝殻がカラカラわらった
カラスがせっせとゴミを漁る
人間は、はしゃぎながら日が暮れると帰った
野良猫は呆れてアクビをした
海は何も語らずうつむき、嘔吐を繰り返した
寄せては返す、ゴミの波
重油にまみれた鳥たちは、見せびらかすように重い翼を広げ死んでゆく
珊瑚たちは今夜も月の光が射さないと、土に還って空に舞う
後の世代に任せたと
人間たちはそれでも、まだ腰を振りながら首を吊る
吹き抜ける風は鼻をつまみ
深海魚は泥のように眠る
小さな子供がお菓子の袋にゴミをつめて帰ると
貝殻はカラカラ笑った
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水の中から見上げた空は緑に近い青だった
こんな素敵な空を見たから人は緑を青と呼ぶのかもしれない
ふと、そう、思った
木でできたギターに小さな空が映っている
木陰は風を蓄えては陽射しに流している
自分を見失った自分は見失った自分を探している
夏の強かに羽を広げる樹の葉が青かった
きっと、この、色も
空に落とした想いが波紋を広げる
どこまでも空は澄みきっていく
想像のなかには、水とか樹とか空の境界線は創れない
ふと、そう、
想った自分が此処にいた
汚れていた自分に
広がれ波紋
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夜だけが空を宇宙色にする
ガラス細工はひどく壊れやすいからこそ美しい
君は僕の瞳を鏡にして前髪を気にする
壁にちりばめた画鋲は星屑のようにニビ色に瞬いている
何万年も釣られ釣られ続けている頭の悪い魚
窓枠に積もった埃
電池の切れかけたリモコン
ふりかえれば
錆び始めた星屑
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此処からそこまで距離はこれだけ
近づいても僕だけ世界と繋がらない午後
君の記憶の花束にある僕の色を枯らして
つぶして
戻りたい過去にバック
できるはずなく鏡に映るバカにファック
あと何回思いでを鳴らして二人が見つめ合うのだろう
持て余す感情逆流
過去から来た青い祈りに現在の僕がいまいち胸張れなくて下を向く
もどかしくて逢いに行く
もし僕の人生が誰かの読んでる本の中ならこんなにハラハラさせないでくれ
でもこの鼓動は忘れちゃいけないんだと
こっそり心に傷をつける
忘れかけたら消えない目印を君と確認しよう
いまいち胸晴れなくて自由と束縛の世に叫ぶ
胸の綻びを紡ぐすべ言葉を僕は持ち合わせてないけれど
いまさらけだした感情をしまいこむなんてもったいなくて
僕らは流されぬ愛にいく
結局
僕の答えは僕から君まで距離を零にしたいだけ
重なる鼓動は忘れちゃいけないんだと
こっそり心に傷をつける
忘れかけたら消えない目印を君と確認しよう