詩人:はるか | [投票][編集] |
さえずる鳥の声より早く緩やかに朝の気配が目を覚ます。
カーテンに映るまだ蒼白い光の糸が飽和した柔らかな部屋に滑り込む。
夢と現の狭間を何度か
彷い歩き
やがてその指先が貴方の肌に触れた。
…ああ、貴方がいる。
胸に覚える微かな、微かだが私を次の動作にかきたてるには充分なほどの痛み。
不意に愛しさが込み上げる。
まだ温もりが漂う、その両腕に抱(いだ)かれたい感情を噛み潰し、散らばった衣服を身に纏っていく。
何も残さないとは
二人のルール
今となっては悲しい
決め事。
…あのドアの向こうは
もう何も無い世界。
私は髪をキリリと束ね
現実への扉を開ける
勇気を…
勇気を…。