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影色の部屋


[1] Fey
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言葉にならないこの想いをどうにか言葉で伝えたい

星を見て、涙堪えて

君は一人?
いや、君も独りじゃない

見果てた夢の旗を見ながら中指の十字架を掲げ

全てを消させまいと足掻く

右目の痛む少女の髪が流れ
高台から二人で町を見下ろし
珈琲に映る自分を殺めながら
彼女の風を感じる

夢を夢と認識しない夢に沈み
今宵、二人は舞い狂う

少女の右目は真実を
少年の両目は虚無を
眼鏡の下の双の目は全てを

行かなくては
手遅れになる前に
しかし、もう遅いか

怖いぐらい黄色い月光に照らされ
想い出の深緑の森で
全てを見失い
全てを手に入れ
たった一つだけを失くす


赤に包まれた町を背に
目に宿った手は誰色に染まる

屁理屈を理由に愛した讎を赦し
少年は彼女と罪を背負い
一振りの刀に心を灯す

僕はそこにずっと居たかった
私はそこにずっと居たかった
けど、そんな願いはもう終わり
終わりに到達した瞬間
長い長い償いが始まる

2010/01/07 (Thu)

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