翼もがれて地に落とされてそれでも生きようと足掻いてこの肉体(からだ)から流れ出す紅い液体に恍惚として背(せな)の痛みなど忘れて濡れた腕(かいな)で深紅に染まった羽根を抱(いだ)いて『そのうちまた飛べる』と信じこんでそのまま全身が訴える眠気に意識を失ってそのままそのまま。
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