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ナナエの部屋


[88] 至福の絶対零度
詩人:ナナエ [投票][得票][編集]

春はまだ遠い

コンクリートもまだまだ遠い

土は
サラサラの粉雪が重なる厚い氷の層の下で
いまも冬眠中

下を向いて歩かなきゃ
道は前を通った人が創るから

上を向いて歩いちゃダメだよ
朝も昼も夕方も変わらない雪雲が覆う
灰色の空だから

ただひとつ教えてあげる

冬の夜は
上を向いて歩かないといけないよ

こんな手が届きそうなオリオン座も
宇宙を肌で感じられるこの空気も

一生に一度のこの瞬間
最高の贅沢が私だけのものになる

だから私は冬が好き
どんなに厳しくても
この地で生きていけるのだ

2013/01/05 (Sat)

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