詩人:風 | [投票][編集] |
涼しげに
吹いていた風が
ある日凪になり
自ら風を起こす
気力もなく
空気は淀み
呼吸が苦しくて
泣いて泣いて
泣いて泣いて
過ごす日々
少しずつ
こころの雨が
どんより曇り空に
なる日が続いて
溜め息ひとつ
気力がなくて
溜め息ひとつ
だけど
微力ながら
自力で
ぼくは
風を
起こせたよ
自分で
風を
生み出した
溜め息すら
再生の合図の
風興し
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いつも人の気持ちを
大切にすること
ばかりを考えて
ぼくは自分の気持ちに
黙れと
命じてきたんだ
ぼくがするべきこと
楽な方の扉を
選ぶことは
逃げることではない
自分を苦しめることは
真剣に生きることとは
別ものだから
もう誰かの為に を
やめていい
ぎりぎりの崖っぷちを
選んで歩くのは
よそう
道は他に
幾らでもある
なければ
自分だけの
獣道を作ればいい
本当のぼくは
誰もが歩きやすい
舗装道よりも
誰も通らない
獣道が
好きなのだから
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ある穏やかな
小春日和に
あなたは優しい瞳で
寒椿の花を
撮影する
激しさの裏側の
ほんのりあたたかな
あなたの一面を
垣間見る
人の感情を司る場所は
誰も知ることは
できないけれど
ぽとりと花が
落ちる前に
こっちを見て
微笑んで
やがて雪が降り
あなたは遠く離れても
寒椿の花は
あなたを映す
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小高い丘に
立ってみよう
空も街も
いつもと違う風景
高い場所からだって
上から目線には
ならないよ
見たことのない視界に
感動したり
でも街にいる人からは
見下しているように
見えてしまうのは
何故なんだろう
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こころの荒れ模様を
抱えているのが
辛くて
せつなくて
詩に
誰かに
叩き付けたくなる
だけど
本当に書きたい
言葉は
これでいいの?
地底から沸き上がる
不安の汚泥を
喩え真実だとしても
誰かのせいだと
訴えるだけでは
不安は拭えなかった
どんなに叫んでも
消えなかった
僕の言葉は
こんな荒れ狂った
表現を
したくはないんだ
抱えた辛さ以上に
自身の言葉を
失くしていたことが
辛いと
ようやく悟った
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遣りきれない憂鬱
抱えて
部屋の片隅に
蹲っている時だって
きみの微かな
すすり泣きが
聞こえたら
ぼくのどこかに
スイッチが入る
もっと泣いていいよ
泣いた後は
体が凍えるから
そうならないよう
ぼくは必死で
呪文を探すんだ
遣りきれない憂鬱は
邪魔だから
床に放り投げたら
きみの為に
右往左往している
うちに
いつの間にか
蹴り飛ばして
冷蔵庫の隙間に
転がっていった
憂鬱は冷蔵庫に
任せて
きみのことはぼくに
任せて
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せっかく
あなたと来たのに
鍵付きの動物園
中で動物たちは
いつも通りに
寛いでいるのに
入れないんだ
いつしか
あなたの胸にあった
鍵付きのこころ
確かにあなたは
いるのに
掴めない
入れない
鏡に映った
わたしの姿
そこにもあったんだ
チェーンでがっちり
二重にロックされた
鍵が
鍵の開いた時に
動物園に行けば
あなたとわたしの
鍵も
外す勇気
でるのかな
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嫌いだよ
大嫌い
とにかく嫌いだ
*ぼくの嫌い=比類なく愛しているという意味だよ
と言われるのと
好きだよ
大好き
すっごく好き
*ぼくの好き=言葉通りにとても好き
と言われるの
どっちがいい?