詩人:健吾 | [投票][編集] |
漆黒の闇の中
やっと手探りで
掴んだものすら見えなくて
不安で
不安で
もう自分すら見えなくて
自分がつまずいたものにすら
すがりついて
そこに何も無いと
何故だか寂しい
後から痛みだけ感じた
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深い深い穴
暗い穴
静かな穴
そこにあるのは
完全なる静寂
死
そこに入れば
この喧騒から
逃れられるだろうか
穴の縁に腰をかけ
足をぶらつかせて
考える
堕ちたなら
上ってはこれないだろう
けどこのうるさい世界の
どこにいるより
楽なのかな
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最後の炎
二人で灯した約束の炎
今
風前の灯火
カタチ無い炎
再び灯すことのできない炎
最後の炎
消そうとしているのは
キミ
炎の前で
愛の言葉をささやく
ナニヲシタイ
ワカラナイ
コワイ
ヤメテヨ
ソレガサイゴナンダヨ
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長い長い夜が来る
眠れない夜
孤独な夜
在るべきはずの眠気は無く
横になれば不快感がおそってくる
世界が夢の中に居るとき
夜に抱かれて
孤独と共に朝日を待つ
外に出れば
夜を蹂躙する者達が
街を闊歩している
夜に取り残された私たち
孤独を感じる者
群れる者
私は一人の夜を迎える
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目の前で蠢く
赤と黒の肉
生暖かい
それが
人
と解るのは
牙を手に持っているから
薄くて
朱くて
光っている牙
だから多分
人
だろう
腕に絡みついた鎖は
理性とはならず
血を求め
見境無く
振り下ろされる
人の造った枠の中に収まらない
ヒトのカタチをした者達が
今夜も宴を
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大空を飛び回る鳥たちを
見上げる私は
空という自由に幻想を抱き
飢えに苦しみ
死と枕を並べて眠る少年は
暖かいスープのある食卓に
安息を夢見て
世界に平等などありもせず
平均化されることもない
枯れかけた花に
水を与えることも
できない我々の愚かさよ
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死は平然とそこにある
死は最も自然で
最も美しくなくてはいけない
人の最後
それは自らによって
迎えなければいけない
他人の手によって
もたらされる死には
憤りを感じる
眠るような死は
最も美しく尊い
だからこそ私には
血飛沫を
舞い散る桜のように
降らせながら
死んでいくのがふさわしい
紅い血で
自らを清め
少しでも死を
美しく演出できるように
死は美しくなくてはいけない
人の命の燃え尽きるのは
その人の最後は
最も美しく飾られるトキ
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我は我に在らず
其の目は己が目に在らず
其の鼻は己が鼻に在らず
其の口は己が口に在らず
其の耳は己が耳に在らず
其の体は己が体に在らず
其の命は己が命に在らず
我は我に在らず
其の目は真を見ず
其の鼻は真を香らず
其の口は真を謳わず
其の耳は真を聞かず
其の体は魂を伴わず
其の命は既に無く
我は我に在らず