詩人:紀帆 | [投票][編集] |
なんで悲しいのか
わかってるくせに
マイクなんて向けてさ
予測通りの涙と慟哭に
満足気に同情するリポーター
これが感情ってやつなら
高等生物なんて名前が
なんだかバカらしくて
痛みや悲しみに
名前をつけるだけの
そんな生き方探すより
本当は少し憧れてるの
考える前に手を出しちゃう
本能ってやつ
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第一印象は
とろけそうな輪郭と
すべすべの頬
まるでロウみたいな
こんな時季の
頼りない風と温度で
蜂蜜みたいな髪なびかせてさ
あんたはずっとそのままいてよ
誰のものにもなんないでいて
忘れないから覚えていて
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満員電車にすし詰めされてタバコと香水、残業、責任まみれで
何の為に生きてるのって
あんたは言うけど
わたしはあんたの為に生きてみたかったから
もう少し
付き合ってよ
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ガラスの靴で背伸びして
あの頃あんたが見てた
景色が見たかったんだ
ヒール16センチ分高い世界は
いつもと大して変わんなくて
見てたモノは同じだったんだね
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裸足でアスファルト
水溜まりに染まったワンピース
でたらめなリズム
指先に塗りたくったカラフル
ねえ笑って
栗色の睫毛に積もる雪
ストロベリー滴る唇
足首に光る不似合いなアメジストで
一昨日の未来を占いながら
甘ったるいハニーレモンパイ頬張って
カラフルでベトベトな指先でもって
"大キライ"って描くお前の
幸せくらい
願っててやるよ
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青と紫と黄色
色水がまぁるくなって
ぽとんと浮かんで
さらりと沈む
カチカチと音のない時間
窓の向こうの雨の中
ぴったり肌に張り付くシャツ
頬に流れる水色
もう
どれだけ経ったか知れないけど
最後のあの顔だけは
べったり頭に張り付いて
べったり張り付いて
拭えない
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泣かないでよ
だって
泣かないはずの道を選んだんだから
泣き止んでよ
だって
どうすることもできない
泣かせてよ
だって
何だか悲しくなるから
泣いていいよ
やっぱり
泣いていいよ
詩人:紀帆 | [投票][編集] |
引っ張り合った毛布に
無理矢理くるまって
寒がりやな僕たちは
季節外れの冬の部屋で
確かめ合うものもないけど
何となく愛し合った
ジリジリとした窓の外では
挨拶さえできないのに
何処かへ連れてってよと
僕の上で揺れる貴女は
何となく
誓約まみれのリバティーにもがいてる
てんとう虫に見えたんだ