詩人:紀帆 | [投票][編集] |
抉る様な痛みに
ちろちろと
君の舌が心地良くて
舐め合った傷口は
思ったより治りが遅い
鉄の味がする
真っ赤な唇が
愛してるっていうから
それが愛なんだと
信じて止まなかった
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何だか寝付けない日に
何だか物悲しい日に
わたしが音楽家なら
持て余した感情を音符に変えて
わたしが絵描きなら
ドロドロでベタベタな絵筆を振り回して
わたしがソムリエなら
今の気持ちにぴったり合うワインなんか取り出してさ
何百年後とかに有名になったり感動させたりしてさ
価値までついちゃって
でもわたしはそんなんじゃないから
泣いたり笑ったりして
叫んだりデタラメに歌ったりして
時には叩いたりして
あんたを困らせちゃうんだろうけど
不特定多数の誰かにいつか
伝えたいわけじゃないから
我慢してくれて ありがとう
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ねぇ神様
わたしが
あいつを全部忘れそうになったら
どうかわたしをそこで終わらせて
それで
このボロボロのわたしの身体を
少しずつとって誰かに届けてよ
童話にあったよね
幸福の王子みたいに
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月の裏側へ
無人島よりずっと何もない場所へ
行けないことより
帰られないことばかり考えたりして
やり直しができない人生なんてないかもしれないけど
あの頃には2度と戻れない
覚悟引っ提げてくるなら
連れてってやるよ
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いつまでも同じ場所にいられないこと
気付いたのは
わたしだけが歳をとり
思い出す貴方に幼さを感じたから
忘れなくていいと言われても
5回目の冬くらいから夢にすら見なくなった
忘れてくれと言われても
今更何をどうしてそんなことが出来るだろう
置いてきぼりにしないでと
泣きながら縋ったけど
わたしは生きてる限り貴方を遠ざける
貴方は止まったままなのに
もう待ってあげられない
貴方は止まったまま
わたしだけが進む世界
貴方が好きだと言った世界
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海を渡ることも
空を飛ぶことも
人は出来ないけど
走って走って
坂を転げ落ちるように走って
会いにいけるなら
この果てしなく感じた距離に
もう会わないなんて言わなかったかな
エラ呼吸も
羽すら
人にはなかったけど
叫んで叫んで
世界から音がなくなるくらい叫んで
どうしたいか言えたなら
言えたなら よかった
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なんでだろーねと呟いた貴女
真夏の気怠い熱風に煽られて
同じ時代に生まれられなかったことだけを
呪うよ
同じ時代でないことが
どれほどのことか理解は出来てないけど
貴女はいつもそうやって
見透かしたように僕を子供扱いする
タバコだって吸ってる
酒だって少しくらい飲めるよ
セックスだってもう
貴女はもう全部わかってた
僕の気持ちがその内離れることも
それでも今一番貴女に惹かれていることも
いくつも離れた時間が
どうしても邪魔で
それに囚われてる貴女にも苛立った
大きな瞳と
赤いペディキュアが不似合いな
僕の先生
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壊れる音が聞こえないほど
あっという間に
溶けるように
弾けるようになくしてしまう
そんなものなのに
思わず手を伸ばしたくなるほど
近付きたくて仕方なかった
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ペットボトル
当たり前の回し飲み
バスの座席
隣に座ってかじりつくパン
夕暮れの登下校
重なる影
夜中のメール
何でもない言葉の羅列
"誰にも言うなよ"
"こんなことお前にしか言えないだろ"と肩を抱かれて
告げられた名前は自分じゃなかった
最高の褒め言葉で
傷付く自分が許せなくて
突き放すこともできなくて
これ以上近付くこともできない
今が崩れるのが怖いのに
変わらない関係がもどかしかった
今でも
言えないまま
best frend
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引っ張り合った毛布に
無理矢理くるまって
寒がりやな僕たちは
季節外れの冬の部屋で
確かめ合うものもないけど
何となく愛し合った
ジリジリとした窓の外では
挨拶さえできないのに
何処かへ連れてってよと
僕の上で揺れる貴女は
何となく
誓約まみれのリバティーにもがいてる
てんとう虫に見えたんだ