詩人:明希 | [投票][編集] |
そこには、何度も行った事がある。
―――苦しい時、辛い時、悲しい時、弱くなった心が、何かを頼りたくなって、有りもしない希望を眺めてしまうんだ。
大切な人を大切にできないのは辛い。
現実を受け入れないのは悪い癖。
人を殺す覚悟なんか、僕には無理だ。
無知故に、奇跡を信じてられただけだったらしい。
「また諦めの良い子になってしまったなぁ」
誰ともなく、呟くのは自分自身。
まるで他人言。
―――出来る事なら、天国を見たい。そう思って空を仰いだ。昨日も今日も、一昨日も、気付いて見上げた空は、嗚呼、青い。ただ、そう思った。
淡々と様子を眺めている自分を、上の空の僕が眺めている。
肝心の気持はどこへやら,,,
ふわり、と飛んだ膨らんだもの。
ぱん、ぱんっ、と手を叩いて引き戻された意識は、罪悪感だけを残していく。
―――神様の元に出向いて、答えを尋ねるなんて芸当はできなくても、空を飛びたいと願うよ。
少なくとも此処に居るよりはー‥ずっとマシだから。
始まりの場所を想ったら、そこは迷宮、暗闇で、二度と出られないラビュリントス。
迷宮の住人は、抜け出す気力さえなくしたら
そこに住まう怪物と一緒なのかもしれない。
―――ねぇ、迷ってるよ。
現実には帰りたくない。
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時計の歯車
1つ狂う
秒を刻んだ
僕等の存在は
もう進むことのない
君との想い出に
新たに傷を刻みつけていく
記憶が色褪せぬように
薄れていく感情を形に変えて
秒針は
未だ止まったままで
残ったのは
針の刻んだ軌跡
記憶に残る色彩と
目の前の風景は
綺麗に重なり合う
ただ、そこに
君の温もりが見当たらない
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十字架とは自身の罪の証
僕等は意味も分からず正義を唱え
聖なる輝きに御心を囚われる
いつしか神体は朽ちたった
民衆は喉元に装飾を飾る
磔に祈る信者達
汝罰せられること哭かれ
まるで狂気の沙汰
せいぜい祈り続けるが良い
自が祈りを捧げる十字架の
罪の戒めである十字架に
神は 自らの痛みを
そこに存在させ続ける
神はその体で罪を購う代わりに
同じく罪を
神に背いた罪を
人々へ背負わせる
その罪を購うのは
今度は人間自身であると
神は天使の公正さと
悪魔の狡猾さを持ち
僕達には
永遠の罪を与え
無邪気かつ残酷に微笑む
1つの実から始まった罪は
永遠に許さる事はなく
神を失った十字架が望むのは
それに祈り続ける人間達
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ただ死ぬ事は、方法や手順を選ばなきゃ簡単な事だ。
限界を越えればいい。
人間なんて、すぐ壊れちゃうんだ。
安物の玩具のように。
とても無機質で、あっけなくて、それでいて無意味。
人生ってそんなモンだ。
だけれど、必死になって、無駄なモノに価値をつけて、よく分からないまま、何か頑張ってる。
人生ってそんなもんだ。
時々、挫折するんだ。
だけど、その都度、何とかやれてきた。
生きてる、それが素晴らしい事だって、辛い時ほど思ったんだ。
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死ぬ時には、小綺麗にしてから逝きたいものです。
使い古した思い出、写真や、書きかけの詩。
残したくないモノ沢山。
方法も考えなきゃ。
誰にも迷惑がかからないように、場所選びや、死に方は慎重にしなきゃいけない。
理屈ばっかり付け加えて、言い訳して、まだ死なない。
これでも、まだ人生はそれなりに楽しんでるよ。
でも、死にたいんだ。
それは、決して不幸なんかじゃなくて、幸せになりたくて、死を夢見てんだ。
誰が悪いとか、何かを責める気もないんだ。
どうしようもなく、自分が憎くて、嫌いで嫌いでたまらない。
なのに、自分が大好きで大切なんだ。
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夢や絶望は、有りの侭に此処に託そう。
墓場まで持っていける強さは、持てなかったから‥
ただ1つだけ、死者の願いが叶うなら。
「僕の事は、どうか忘れて下さい。」