病気のつもりになるのも嫌で

病気のせいにするのも嫌で

だから私は大丈夫

悲しいことも

苦しいことも

辛いことも

何もないはず

どうにもならないものじゃない

ほんの少し頑張れば

幸せになれるはず

大好きなものは沢山あるし

世界はいつも楽しくて美しい

絶望なんてしていない



どうしてお前が泣くの

私が病んではいないなんて
誰が言えるの
私が病んでいたとしたって
何だって言うの

つまらない自覚も
情けない診断も
頼りない薬も
意味がない 意味がない

名前をつけたところで
私は独りのままだし
そんなもので私を救えない
救う必要なんてどこにもない

眠れない夜も
くだらない夜も
止まらない夜も
いつもと同じ いつもと同じ

病んでるんだねって
微笑んでくれたって
何も変わらないじゃない
誰も救えないじゃない

つまらない理解も
情けない共有も
頼りない受容も
意味がない 意味がない

これは核の問題なの
信じなければならないの
ここから出られやしないなら
ここにいることが大事なの

私は死ぬまで死ねやしないわ
私は死ぬまで死ねやしないわ

櫛の通らない髪 掻き毟って
いつも喉が乾いていたけど

欲しがることは惨めで
泣かない代わりに笑えなかった

心臓を踏みつけられながら
嘲笑われていたのは 誰のせい

愛されるなんて諦めてしまえば
こんなに幸せになれたのに

きれいなものも

すごいものも

かしこいものも

ただしいものも

いりません


やさしいものと

かなしいものと

おかしいものと

あいされないものを

ください

頑張ってる人は偉い
努力する人は輝いてる
一生懸命な人が好き

世界の健全で正常な人間はみんなそう言う
綺麗で正しい人ほどみんなそう言う
だからきっとそれは真実だ

精一杯生きてる弱い者に手を差し伸べる神様は
ただ怠惰に日々を嘆くだけのゴミを救いはしない

ねえ神様
知っているんだ
あなたは俺を救わない
あなたは俺を嫌いな筈だから
あなたは俺なんか死ねばいいと思ってる

努力
努力
努力

努力しなきゃ幸せになんかなれない
それが当然なんだ
世界の理だ
努力しなきゃ死んで当然
誰も救えない
誰も俺を救えない

「死ぬな」って
「死ぬ気でやれば何でも出来る」って
みんなが言うけど
みんなが言うけど

俺が何の努力もしないって知ったら
もう何も言わなくなるんだ
俺を見捨てない人間なんていやしない

最後にはみんなが言うんだ

「もう死ねよ」

きれいなものをみせて

綺麗事をいっぱい言って

死ぬなって一言だけ言って

ほんとうのことはかなしいから

死にたくなくて生きたくて

だけど見つからない
僕が僕でいられない

生きてる僕は死んでいる
生きても僕は死んでいる

体に傷をつけても
心に名前をつけても
生きてしまっていては
「死んでるんだ」って証明出来ない

寂しい辛い生きられないって
どんなに叫んでも伝わらない
価値のない人間の戯言さ

どうにかしてもらうためじゃない
ただ理解ってもらうだけのために
ただ伝えたいだけのために
僕らは死んでみせようとしている

それすらも戯言さ

俺をどんなに傷つけても笑っているお前に

俺を傷つけてなんかいないと思っているお前に

傷つくような俺が悪いと思っているお前に

傷つけられるような俺が悪いと思っているお前に

俺が傷ついたって死にもしないと思っているお前に

俺の死ぬという言葉を中二病だと思っているお前に

俺が死んだって構わないと思っているお前に


俺はこの命でお前に伝えたい


いつも辛かったということを

ぼくがまいにちまいにち泣いたって

そんなことは意味をなさない

世界中みんながまいにちまいにち泣いて

自分がいちばん不幸だって思っているのだもの

僕の頬を抱いた君の両手

その手のひらが焼け爛れて

君が平気と笑っても

僕は何も救われやしない