けだるい夜明けから自分の背丈の影を追い抜かれて眠れぬ時代の思い出の欠片をひとつだけ胸に握りしめて旅だちの唄を脳裏へと響かせて巣だちの刻に郷里へと募らせた悠久の詩を詠いながら、とびらを開く瞬間に出会えるその喜悦びにふるえる生命が覚知する波紋が、宇宙のキャンバスへも届くから画かれた文様は、あたかも、水鏡が映し出した浄らかに澄んだ地球色の青の調べ…黎明が訪れるほんのひと時に咲いた鮮烈な印象を宿す群青色の水晶の灯り…
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