詩人:さみだれ | [投票][編集] |
夕焼けをバックに
神木の根元
眠る人の姿が
辺り一面に散ったはずの
エンディングが
音もなく連れ添う
三毛猫が
すべて忘れられないと
嘆いているから
時間だ
もうすぐみんな
離ればなれ
そこから
いち
に の
さん
遠くまでは
響かないだろう
明日には
まだ早いのに
気持ちはまだ
遊んでるのに
もうここには
誰も いない
いたくて仕方ない
そう思っているのに
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そこで頬杖ついているあなた
あなたは何かをすべきであるのにそれがわからない
頭の中で都合よくわからなくしている
嘘をついた自分を見破らなければならない
時間は永遠ではないのだから
あなたはできることからするんだ
仮面をつけた人に惑わされてはならない
そこに居場所を見いだしてはならない
それはあなたを堕落させ
それは鳥たちに与える餌になる
真に身を寄せるべきなのは
いつだって傍らにあるものだ
探し物が苦手なあなたには難しいかもしれないが
さあ、時間だ
火の番は私に任せて
あなたはもう寝なさい
そのカウチでは首を痛めるよ
さあ
おやすみのキスを
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詩は鳥のように
電線の上で鳴いている
かと思えば海のように
深い愛情を浜辺へ
行き交う人には
景色でしかないそれも
私たちには大切な言葉だ
ときに詩は心を解せず
へそを曲げて去ってしまうだろう
ときに詩は土くれと化し
神様のおもちゃにされてしまうだろう
それでも人は
いばらの先を求め
私たちは心躍る日々を夢見て
詩は誰かの中に
止まり木を見つけたようだ
そして詩はさらっていったよ
私たちにはそれがわかるだろう
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今日はあなたがいない
くたびれたまま
俺は目を開けて
呼吸のリズムを気にしてる
心臓の音を聞いている
今日はあなたがいない
俺はぼんやりと生きて
生きて生きて
知らないうちに
今日はあなたがいない
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許してくれ
ずっと一緒にいられない俺を許してくれ
あなたを孤独にした俺を許してくれ
許してくれ
俺はあなたのために生きられなかった
だから生きなきゃならない
許してくれ
あなたに会うことは叶わないだろう
あなたに会わせる顔もないだろう
許してくれ
世界の掟に縛られた俺を許してくれ
自分勝手に死のうとした俺を許してくれ
だけどもう少し
もう少しで会えるような
そんな気がするんだよ
許してくれ
こうすることでしか希望を見いだせなかった俺を
どうか
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夕暮れって
どうしてこんなにさみしいのかな
何もかもがみんな過去になってしまって
誰もかれもみんな去っていくような気がして
世界の終わり
そんな言葉を思い出すの
ほら
さっきまで鳴いてたカラス
もうどこか行っちゃったよ
今朝のこともおぼろげに
ねぇ
このままずっとこの時間が続いたら
あなたもどこか行っちゃうかな
あなたのこと忘れちゃうのかな
わかってるよ
あなたは私のこと覚えていてくれる
だから私も覚えているよ
もうそこまで夜が迫ってきたね
このほろ苦い胸の内も
甘くなってくるようで
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神様はよく言ったよ
"私を信じなさい"
とりあえず頬をつねってやったよ
可愛いやつだ
毎日玉座を磨いてるんだって
きれい好きなんだろう
ついでに俺の部屋も片付けてくれ
案の定叱られたよ
"人間を作るのは大変だった"
そんな昔話をよく聞かされた
堪らなく愚痴をこぼすと
雷を落とされた
人事異動は神様の仕事だ
どうやら楽しいらしい
けれど神様は知らない
苦情に耳を貸さなくてはならない俺の苦労を
神様は毎晩泣いていた
みんなが寝静まった後に
その理由はきっと
俺なんかが理解できるものじゃないだろう
けれどその泣き顔は
なんだか神様ではなくて
眠ったふりしかできない自分が情けなかった
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彼女の心に棲む深い悲しみの
夜は風にのって
緩やかに丘を滑り落ちるでしょう
暗雲が立ちこめたなら
まだ年若い新緑の懐に身を預けるでしょう
それはまだ恋知らぬあどけなさを残し
ついには犯した罪すら知らぬのです
彼女の白く小さなか弱い手は銃を手にする
撃たなければならない
彼女の頭にはそれしかなかったのだ
目の前には震えるばかりの小動物が
逃げ道をあれやこれやと探している
彼女の心に棲む深い悲しみは
引き金を
すべての音が
光が
感覚が消えていくのを
彼女は覚えようとした
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辺りは静けさを取り戻し
光だけがこの目に映る
遠い日の軽やかな体を忘れ
沈んでいく空の中
人はどれほど嘆き、叫び、歌おうとも
連続する気持ちの裏返しに
何をすべきかを見失う
そのたびによくあろうと
色を変えて魅せるのである
己自身に
宙を舞う蝶は
鳥の高さを知らず
空駆ける鳥は
星の高さを知らず
沈んでいく空の中
ようやくひとつの気持ちに落ち着いた頃
白く
白く弾けていくのであった
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さかなは海のない街
死んでしまったよ
誰にも餌をもらえないまま
滞る時間の中
泳いでは沈んでいた
飛び出せないガラスの檻
絶え間ない声に響いて
次の満月にはもう
さかなは死んでしまったよ