詩人:さみだれ | [投票][編集] |
あなたが風邪を引かないように
わたしは雲になって
あなたのいない
どこか海の上にでも行きます
あなたが転ばないように
わたしは石になって
あなたのいない
どこか山の奥にでも行きます
あなたが元気なときには
わたしは夜になって
あなたのいない
地球の裏側に隠れます
あなたが不安定なときには
わたしは涙となって
あなたのいない
どこか道の上に染みます
あなたが愛する人を愛するように
わたしはバラの刺となって
あなたのいない
どこか知らない片隅に身を置きます
あなたがわたしを思うとき
わたしは何となって
あなたのいる
あたたかい日だまりに入るのでしょうか
あなたに良いものでありますように
わたしは願いとなって
あなたのいない
神様のお膝元へ行きました
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
生きるって何?
みんな勝手なことばかり言うけれど
生きるって何?
死ぬことと同じくらい怖いのに
それでも生きろと言うなら
生きるって何?
幸せの位置に行けばわかるの?
日々の何でもないことに感動すればいいの?
人の優しさ?
いいことをする?
みんな勝手なことばかり言うけれど
生きるって何?
なぜ"生きてるの"?
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
怖いだけでしょ
世の流れ
人々の心
文化
見た目
そんなものしか見ていないの
あなたは
そんなあなたを素晴らしい
とは思わない
とても滑稽で哀れで情けないもの
あなたは何も感じてはいない
卑しい人の優しさ
暴力的な正義
透過した思考の壁を
あなたは感じてはいない
濁流の感情の飛沫に
あなたは目を奪われてる
理想郷などありはしない
あったとしても私たちには難しいでしょうね
あなたと私では
優しさが違うから
また違う人とも
その隣の人とも
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
鏡に色はない
ただ景色を真似るだけである
そんなものを彼女は毎晩磨いた
自分の顔を嫌いもしない
私は彼女をもっと知りたくなった
雲には触れない
ぽつりと、時に覆うように空にあるだけである
彼女はそれを天使だと言った
雨に大地は雪に子供は喜び
それらは必ず誰かのためになると言った
心を私は信じない
いつも疑心や裏切りが付き纏うのである
それすら彼女は包むように抱いた
もっと大切にしたい
私は彼女を何よりも愛するようになった
やがて幾年か過ぎ
私は当たり前に歳をとる
皺はあちらこちらに刻まれた
だが私は死ぬことに恐怖は感じない
彼女は生きることを素晴らしいと感じるために死んだのだから
”心に残ったものが一番大切な記録だから
覚えていてほしいの 今日の私を
あなたの心に残ったならそれだけでいいの
私はちゃんと生きていたって
そう思えるから”
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
奇跡が
私たちのそばにいつでもあったなら
とても退屈で
つまらない錯覚を起こすかもしれないね
私たちは
絶望と背中合わせに座っているけれど
それは奇跡の代役で
本当は幸せと手を取り合っているのかもしれないね
私たちは
ときにそれを忘れてしまい
幻惑された人は
夢を見なくなり
漂流した人は
いよいよ死んでしまう
だから
あなたたちが言わなきゃね
奇跡を指差して
背中を押してあげなきゃね
絶望は
私たちのそばにいつでもあったから
とても唐突に
しかし確実に奇跡はあるんだよ
どんな形であれ、さ
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
窓辺にすがりついて
遠い星の安息を願う
あなたの背には羽があって
あなたはいつでも飛び立てるのに
黄金色の光の影で
弱気な心ばかり見ないで
あなたの身の周りの人は
太陽が隠れるように
眩しく輝いたかと思うと
いつの間にか消えてしまった
あなたはそれを悲しい
さみしいと思うだろうね
でも違うんだよ
あなたの背中にある羽を
どうか思い出して!
いつまでも塞ぎこんでいるから
あなたの世界は重力に捕まっている
すがりつく時間はもう終わりだ
あなたは弱気な心を引っ張って
理想の羽を広げ
行かなくてはならない
外宇宙を目指すつもりで
いってらっしゃい
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
僕の心はどこだろう
君の心は海に帰るけれど
僕の心はどうだろう
君を妬んだり
憎んだり
蔑んだり
僕の心はどうしてだろう
見えないところで意地悪してる
君の心は安心するけれど
僕の心はなんだろう
ちくちく痛むんだ
君が笑ったり
ふざけたり
うっとりしている
僕の心はどうしてだろう
君の心と寄り添いたい
そう言って聞かないんだ
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
君たちを不愉快にさせる詩はいくらでも書けるよ
君たちを楽しませる詩はちっとも書けないよ
君たちの望む言葉の美しい並びを知らないし
君たちの選った好感の持てる詩を知らないし
だから
君たちには永遠に普遍的な詩なんだ
君たちには届かない思いなんだ
と
しかし
君たちにも同じことが言える
君たちも例外ではない
君たちの穏やかな詩が
君たち以外には穏やかではない
しかし
君たちにはその存在を認知することはできない
君たちにはその存在の心をうかがい知ることはできない
君たちの素晴らしい詩が
君たちにだけ素晴らしいのだとしたら?
君たちは天国に馴染んでいる
君たちは過去に見た地獄を忘れようとする
君たちの神様は都合よく詩を書いてはくれない
君たちの羽は見た目より機能性がよくない
だけど
君たちは気取って何でもない風を装う
君たちはなおも素晴らしいと賛する
そんな
君たちを楽しませる詩はちっとも書けないよ