詩人:さみだれ | [投票][編集] |
一途な気持ちを笑わないでね
新緑の青を保つ水は
いつだってぼくを殺しかけて
こりゃもう年貢の納め時だと笑う気持ちを押さえてね
ようやく生まれた命を守る
長い長い努力の途中
新展開はるか遠くあなたが忘れる頃に
ぼくは好きだという気持ちを宣言する
そのころには世界はひとつになって
言葉や文化も変わるだろうけど
誓いの言葉は変わらずこの日本語にする予定
こんな妄想をあと何年何十年
もしぼくが不死身なら永遠に
抱えて生きていくんだろう
超展開はるか遠くあなたが死に行く頃に
ぼくはかならずその手をとって
ひとつになった心
異常なくらいの涙をためて
あなたの背丈を追い越した新緑の青が
太陽に照らされて光る
いつだってぼくを励ましている
頭おかしいくらいがあなたを愛するにはちょうどいいと
思えてきたんだろう
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遠のく月明かり
地球は居場所をなくし
君は毎日祈るけど
届いちゃいないだろう
車窓のそばで
眠る頬は淡い
日の光に応えて
赤く染まる
毎日世界最後の日
鳥たちは空を飛ぶことなく
君は毎日祈るけど
届いちゃいないだろう
橋の袂に
メランコリヤの影
誰を思う侘しさか
揺れて涙のよう
凪につかまる足を
岩場の人魚は見つめる
水面に琴を浮かべて
夢から消えた
手を解く月明かり
もうここは静か
君はまだ祈るけど
届いちゃいないだろう
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あなたを待つ氷の心
一人では溶けない
あなたが信じる氷の心
一人ではいられない
あなたを忘れる氷の心
一人では思い出せない
あなたが照らした氷の心
一人では笑えない
あなたに凭れた氷の心
その涙
一人では落ちない
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軽石みたいな言葉を投げて
水鳥を的に遊ぶあなたは
きっととても優しい人なのでしょうね
誰もが目を奪われるほど
歪な形の言葉を投げて
水鳥が傷つき沈んでいく様
とても美しい感性
洗練された匠の技
すべて茶番だというのに
クローンを作り
私は放つ
その水面に
このクローンを
あなたは何と呼ぶか
呼ばずに殺すか
誰もが目を奪われるほど
凄惨に
この茶番を作る私を
磔にし罵るか
その軽石で
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この詩は熱を持たない
ならば何
この詩は形を持たない
ならば何
この詩は心を持たない
だから何
この詩は死を持たない
それが何
この詩は人を選ばない
だから何
ならばこの詩はなぜここにあるの
知らないよ
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時はいたずらに
この心をくすぐる
君が涙を拭うときや
木々が枝を伸ばし
手を取り合うときや
その気持ちを知りたいと願う
優しさが見えたら
今は高らかに
この声を響かせ
君が目を伏せて逃げないように
海がどこまでも腕を広げて
包み込むように帆を上げる船
その日の喜びを続けたいと願う
優しさが見えたら
“何も無駄なことなんてなかった
君は一人じゃなかった“
心の中でも笑えるように
今は高らかに
この声を響かせ
風に放って気ままに
飛んでいくよ
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彼は意思を頑なに守った
堅牢なバリケードに囲われ
金剛鋼の鎧を纏い
黙って目を瞑りながら
人は彼を引きずり込もうと
火を投げ入れたり
罵倒を浴びせたり
かと思えば流暢に世辞を述べたりもした
しかし彼はぴくりともせず
そのうち「あいつは死んでいるんじゃないのか」と
噂されるようになった
彼は意思を頑なに守った
川の流れにも動じず
どんと居座る大岩のように
人の流れの中に籠城しなければいけない
それは何を守るためか
人と手を取り合って生きなければならない
なら振り払われた手はどうなるの
意思をもって引き金を引いたあなたは
意思なんて持っちゃいない
仲良しごっこはもうたくさんだよ
有刺鉄線の向こうで
彼は静かに涙を流す
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地球最後の詩は
天を青いと表現して
あなたの心に深く深く刻み込まれ
私の前から姿を消した
未来を憂い
悲痛な現実を嘆きつつも
色とりどりの花を咲かせ
土手を歩く背
この詩の終わりにささやかな祝福を
あなたの願いや
祈りとは裏腹に
地球最後の詩は
情け容赦ない比喩の連弾
過去にすがり
幸福を履き違えるばかりでも
色とりどりの花は咲き
この日の幸せを案じているのに
人類最後の詩は
今日の足跡を美しく刻み
あなたの心を確かに幸せにする
そう決められていると信じて
その詩の終わりにささやかな祝福を
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見る夢は朧に
あなたの言葉は空気のように
その世界に満たされて
私がかき集めた言葉も
敵わないくらいに
しなやかで優しい
それでいてとても寂しいものでした
だから私はとても不便な生き物です
空は高く遠い
しかしここからは狭い
そんな宇宙に広がる星も
この目には限られて見えて
あなたの言葉が消えるまでの響きを
かろうじて感じている今が
実は幸せなのでしょう
露を弾く草花の
遥か下に私があり
涸れた声に希望を与え
言葉を発するその先刻
あなたが微笑みを携え
私の手をとりました
この気持ちを
無限の海に浸らせ
悲しみや喜びを隔てた
核なる心に与えよう
あなたの言葉を肌に感じて
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バイパスの橋の上で見てた
メランコリヤの情景は
夜が外套の下に隠して
あとどれくらいの命だろうかと
この日の空に問う
悲しみこそあれど
喜びを忘れちゃいない
くたびれた足を引きずった先に
あなたが手を伸ばしてくれたら
そう思う心を夕景に流して
誰かが憂いてくれたら
涙を察してくれよ
わがままにもほどがある
笑顔の裏に隠した本心を
諭すくらい
わかっていたい
わかりあっていたい
つまらない思いの丈を
聞くのも辛いことでしょうが
この手の先に願った姿が
月にも嫌われて映えることなく
世界に存在しない慈愛の生き物を
その目に僕しかうつせない
メランコリヤを