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さみだれの部屋  〜 投稿順表示 〜


[883] 収束
詩人:さみだれ [投票][編集]

希望とか
幻想なんてものが
あり続けるせいで
世界は張り詰めた糸を
切れずに悶える
だから私の心を切れずにいるのだろう

あなたは誰
何がしたくてそこにいるの

殺してください
と、呟いた
希望とか
幻想なんてものが
この部屋に敷き詰められているから
何も聞こえずに
私は忘れてしまうのだろう

人間を人間たらしめる優しさ
人間を人間たらしめる残酷さ
私の部屋に充満したガス
私の脳を犯す劇薬
殺してください
と、呟いた
けど
ここには私しかいないのだ
蓋をされ
釘を打たれ
呼吸を忘れていく僕を
希望とか
幻想なんてものが
救いだしてはくれまい
それが世界ってものだと
あなたは言うの

2015/12/06 (Sun)

[884] 無題
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燃えて光る
メランコリアの残火を
大事に葬る彼を
その国は持っていた

クオリアをなくした
人の脱け殻を見
美しく遠吠えする
そんな彼を

世界を見てよ
地球じゃなくて
あなたが感じ思う
世界を見てよ

煌めく朝露の結晶を
私の手では触れられない
その悲しみを
伝え聞いてくれよ

あなたがいたという事実は
やがて痕跡になり
風化してまた形を失う
艶やかにそびえ立つビル群
それよりはまだ長く

うつくしく
喉を震わせ
あなたは生きて
この世界を見るの

2015/12/20 (Sun)

[885] 海の天頂
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宙に浮かぶ野原を
絶海の中に見る
反射する春の花々を
片目を閉じて見る
心はもう深海へと沈み
気持ちの彼方にプリズムが射し込む
私はどんな言い訳で生きているのだろう


まばらに聞こえる声を
いちいち気にしている
それだけで心地よく思える
この身を太陽だけは
燦々と焦がしてくれる

そして喜びは輝き失せた

2015/12/23 (Wed)

[886] ほのお
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燃えているのは
夢みがちな年頃の子
赤いテールを右へ左へ
何を求めているかも知らず
春らしい陽気に
彼女は鬱に病んだ
燃えているのは
在りし日の尻尾

私は燃やされていた
美しい言霊と共に
煤こけた炉の中でも
私はうたうのだろう

あなたがあなたたらんとする
その炎はあなたを傷つけない
燃えているのは
あなたの見たことのある
賑やかな尻尾だけだから

2016/02/10 (Wed)

[887] 心音
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天変地異の雑音を聞きながら
歩く雲の上が果てしなく遠い
こんなにも遅かったのかと
わが足を呪ったりもした
私は青空を見ることに飽きて
さらに向こうの星を見た
当然誰もいないその星を
静かだと思い込んで

光を失った脳を
心へと下げてきたけれど
彼は無機質だった
それが悲しいと思うことを
不思議なことに忘れていたんだ

世界のどこかで
手を持つ人がいる
温度など感じないほど
祈っているんだ
世界のどこかで
幸せを生んだ人がいる
心まで空気に混ざって
祈っているんだ

この星は重たいんだって
ようやく私は知ることができた

誰もいないこの星で

2016/03/20 (Sun)

[888] 献花
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俺は銃を持っていた
前に花が一輪咲いていた
俺は一発目を外した
二発目も 三発目も
俺はマガジンに六発しか入っていないことを知っていた
ふと頭を過ったのは
この六分の一を奇跡と読んでいいのか
俺は撃った
神様も悪魔もない
ただ純粋な理の上で
俺はその花を撃った

2016/03/28 (Mon)

[889] 君の名を呼べば
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君の名を呼べば
私の心は落ち着きを取り戻し
鳥の羽音にも詩を見いだせる
ああ、こんなものか
君に宛てる言葉は
とても単純で
大事な言葉だ

私の心のざわめき
眠れない夜を
君の名を呼べば
風が運んでくれる
そんな距離に
ずっとありたいと
君に宛てよう

2016/05/26 (Thu)

[890] ペルソナ
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私の心は
星のなかに埋もれ
窮屈に生きていくことしかできない
あなたのように
等しく生きていくことができない
喜びは
岩の影に隠れ
命などは
砕いて放った
私は
自分ではない
それは誰なのかを
わたしは考えた

わたしは

愛することひとつできないのであれば
私は誰
信じる決意すらもたないのであれば
わたしは誰
あなたは私を殺してすらくれない

2016/06/30 (Thu)

[891] 君へ
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悲しみをいくつ乗り越えたら
君の瞳を思い出せるのだろう
ただの涙がこんなに愛しくなるなんてさ
あんなに呟いた 君の名前を
どこに書き残してきたんだろう

声が出せないとき
背中を押してくれる
君の言葉が 夜に落ちてしみる
目を覚ませば聞こえなくなったんだよ

なぜ僕はここにいて
君はココにいないのだろう
なぜ僕は悲しみを握ってるんだろう

こんなに拙い言葉を書いてさ
それでも君が同じ言葉を
呟いてくれたんだ 僕はココにいる
嬉しいことがいくつもあったんだよ
君の瞳にも映ってるかな
ただの涙がこんなに愛しくて
その一滴をここに置いていくよ

2016/07/05 (Tue)

[892] 星のない夜
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眩い光の影に足をとられた
どう転んでも痛くないのに
その時だけはたくさん泣いた
誰も手もなく
言葉も与えられない
それが一番辛かったのかもしれない

膝にできた擦り傷は赤いまま
ひとりでに歩き出す
泣いてばかりの僕を引き摺って
光の方へ
目が焼けて見えなくなるなら
この心だけを見ていたい
ずっと

それじゃダメなんだって
彼女は僕の手をとった
君が永遠に変わらなくても
君以外のものは変わり続ける
ひとりでに歩き出した膝も
私ですらそうなんだよ

それでも僕は目を開かなかった
深い闇のなかで
この心まで見失った

2016/07/11 (Mon)
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