詩人:さみだれ | [投票][編集] |
海の底に昨夜のくじら
アスファルトの熱さに溶け死ぬ
タンスの中には私がいて
ペン先にはあなたの笑顔
葉の裏の幸せ
もぐらにはなかったよ
絶えず聞こえる嬌声を
とぐろ巻く炎に変えて
歌い狂う
毎夜
されど優しさを願う者
女神すら手を出せない幸福
絶対という数字に背負わせた運命を
感覚の中に見いだせる人々を
深奥より傍観する
水の深奥より
答えなどない
あってほしくなど、ない
水辺線上に
呼吸するあなたがいれば
答えなどいらないんだ
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臓物を撒き散らして
生きていたと言う
それがどんな内臓か
知らないうちに死ぬ
喜びましょう
人と繋がれた幸せ
願うものの黄昏
私の背に
それはある
君が願うそれを
肯定するために
私はチップを埋めた
右手首に
分かり合えない可能性を捨てたなら
喜びましょう
私の内臓を
あなたは知るんだ
私が死んでなお
臓物を撒き散らして
ただ
チップにはあなたはいないのだけれど
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たましいをはきだす
ことあるごとに
死んでしまえと
よく言うお前
ほんとかわいい
でも僕はいないよ
「死んじゃった君へ」
そんな君へ
喜びは等しく分けられてはいない
悲しみはよくうつるけれど
嬉しいのは伝わらない
それが生きて
私を貫いてる
魂はどこへやった?
意思は那由多に
君はどうだった?
嬉しい?
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君を奪った
それらを許さない
君を放った
それらを許さない
君がいなきゃいけない
私も同じ
それらを許せない
私も同じに
恋や愛が世界のすべて?
君そのものが世界足り得る
引き金を引いて
これはこいのしに
そして私は
きみがすきになれなかった
独りに
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色のない世界
輪郭を失い
あなたが景色と同化する
そんな世界
叫びもなく
慟哭も嘲笑もない
単一の音のみが響く
そんな世界
寂しいはずがない
だって私がここにいるもの
私だけが
指を折った
痛みがわからない
それが痛いと
私は知らなかったから
心が軋む
それは感触
ずいぶん長い間
刻み込まれてきたもの
なにもみえなくなったよ
あのおともきえてしまって
そうやっておわるということ
せかいだけはしっていたのに
わたしだけがしらなかったのに
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化け物たちの対価は
爪の端ひときれだった
それが君たちの命だと語る
化け物の親
乾いた風とともに
私に命をたらしめる
人殺しは誰か
爪の端ひときれで
死んだんだよ
だから
化け物と等しい君たちの対価
それは死だ
人として抗う様を
君はどんな役で見ているの?
私は化け物で、君を見てるよ
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幸せは君だと言う
君が笑う瞬間を指す
それを見たかった
過去を指して
私は生きていることを
君のためだと言う
そんな理由
誰も生かさない
自身すら生かそうとしない
「君のため」が
理由にならないなら
私は死ぬことを
君のためだと言う
それすら理由にならないなら
私は君の死を
生きようと思う
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明日の月は綺麗だ
そうわかったところで
雲がかかるとは知れない
昨日の愛や
慈悲なんてものが
今日に続くだろうか
あなたが拾い損ねた
願いや普遍を
どれだけ拾えたのだろう
あなたが見ていたくて
望んだ幸先を
見えずに笑っていた
それを幸せだと
いつから決めたんだ
完成された感性
満たされた夢のような
不純物ひとつない
紛い物だと知らされない
昨日の月だって
嘘みたいに綺麗だ
あなたがそう笑って
つられて笑った
今日にはない
あなたの笑顔だ
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夢を見繕い岩盤に刺す、歯痒い幕開けに
照らされるのは夕焼け
烏の群れの絵図
ほうけにならずに破れば
なんてことない紙片のそれ
岩盤はここか、と
患いはすれど事はなく
訪ねるのは憧憬
私はなんであれ、と
誰かしらん飛ぶ空
岩盤には遠く仰ぎ
誰かしらん這う空
窓辺には余りきる
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芽吹いたそれだった
何の名もないでしょう
よく言えば普遍的と
そうじゃなきゃ退廃的と
言われることに慣れて
ガーゼをよく被った
それが好きだった
だるいね
息がしづらい?
くだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらない
思いすぎたので
あなたは枯れてしまいそう
枯れてしまえばいいのに
よくなった葉っぱが
自分には似合わない
くだらない
思いすぎて欲しい
あなたは枯れて
秋は綺麗
良くない葉っぱが
邪魔に見えて
なおさら私は
青さを残し
開いたそれを
凡庸に思い
なおさら私は
色形を追い
芽吹いた傍に
あなたは名を得て
くだらないくだらないくだらないくだらないくだらない
普遍的であるので
仕方がなかった
仕方がなかった
ああもう仕方がなかったんだよ
ここはどこ
私は誰
楽しみのうちの
どれだけがくだらない?
どれだけが私に成り得る?
鉢にはわからないでしょうが
土にもわからず生きたんだ
私は誰