詩人:さみだれ | [投票][編集] |
落陽をよく見た
橋の手すりが溶けるのがわかる
君といえばそんなもの
視界が回り
いなくのはいつもいつも
跳ねる音ばっかりで
落日は微睡み
好いた夢をも揺れて
私とはそんなもの
そんなものが跳ねて
跳ねて
見えるものに青さを求め
眼球は旅をする
なぜ?
冷たそうだから?
落葉に燃え
君は手すりを変えた
変わり果てた形など
どうでもいいように笑う
その向こうに見えるんだ
赤く腫れる落陽が
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幻はよく吠える犬に咥えられ
巣穴に戻る頃にはもう手足すら忘れ
空を切るそれは世界の見世物となり
首輪には唯一残された自我があり
主観によれば悲劇だった
客観には喜劇だろうが
俯瞰で見ればなんてことない
総意による言葉により
魂はよく吠える
人のそれはよく吠える
何を吠えているのだろう
意味などないと俯瞰は言う
主観は体を気にして黙り
客観には漫談だった
憂鬱には水を与え
貴方は行儀よく座って
ありきたりな午後を過ごす
私にはわだかまりがない
あなたは欲しているばかり
私にないとわかっていながら
幻はそんなものだと
巣穴に戻る頃にはもう
主観が大袈裟にすれば
あなたが静かに
無かった事実に
気にすれば死ぬと
囁かれてる
そんな風に
見世られている
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広いといえば
海を思い出す
貧しいといえば
どこかの国のスラムに
良いことは忘れがたく
豊かになれば
忘れやすく居心地よい
貧困になりさえすれば
大事に思えるものが増える?
減らないことが
忘れがたく居心地よい?
居心地のよさは
私の太古の記憶から
指を吸うことが
居心地のよさと言った
狭さを呪う
そんな胎児の胸に
管は繋がれ
呼吸は地球に波を立て
手がある理由を知り
広さを確かめた
手に取るものがないと
諦めてしまった
広くなくていいから
海を見たいと
望む君こそ
居心地よいのだと
そこに理由を持たないように
君は軽やかに指を鳴らした
楽しくなって私も鳴らした