詩人:さみだれ | [投票][編集] |
ぽつりと呟く
人も疎らな
スーパーマーケットの裏
君がいるんだろう
聞こえているよ
楽しい独り言
車の音に混じって
歩いてきてる
僕はそれを愛しているし
何より必要なんだ!
絶え間ない時間より
揺るがない気持ちより
君がそのうち
歌いだすときを
いつまでも待っていよう
生きてる限り
ぽつりと呟く
楽しい誓い
僕と君と
限りある独り言
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あの黒猫
俺を殺そうとしている
何度も目の前を行ったり来たり
うろうろしやがって
ああ、もう
こうしている間にも宇宙は膨張しているっていうのに
なんて変わらないんだ
何ひとつ変わりないんだ
愛する人はいないし
頭の中はアイスクリームの山
ロマンチックなんてかけらもない現実
だから重ね合わせてよ
ああ、もう
銀河が1センチ動くたび
あの子への気持ちは1光年離れて
俺は微動だにしないまま
あの黒猫
殺しにくるのを待っている
うろうろ、うろうろしてないで
噛みついてこいよ
さあ!
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今日一日のことをだらだら書く
これは詩だ!
この前ライブで歌ったんだぜ
これが詩だ!
人間はかくありけり
これこそ詩である!
お父さんお母さんへ
これは詩です!
優しいあなたが大好き
これ詩だよ!
今日も一日頑張ろっと
これ詩ね!
昔こんなことあってさ
これは詩なんだけどさ!
"君が詩句に翼あらしめ
魂の奥所より出で、別の空、別の愛へと
天翔る歌たらしめよ"
(「詩法」より)
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(あなたは誰?)
彼女がそう言った気がする
だが何も答えられない
言葉が引っ掛かったのか
喉を押さえ咳をする
何度も何度も
終いには呼吸が乱れ
俺は床に伏せた
(あなたは誰?)
彼女がそう言った気がする
(あなたは誰?)
彼女がそう言った気がする
(……)
彼女がそう言った気がする
()
彼女がそう言った気がする
彼女がそう言った気がする
だが俺がいない
彼女がいる
だが俺がいない
彼女が言っている
だが俺がいない
言葉が引っ掛かったのか
いやそうじゃない
何も苦しくはない
ただ俺がいない
彼女がまだ言っている
だが俺がいない
俺がいない
彼女がいる
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少女は
日記を残し死んだ
早すぎる死だった
学校は緊急集会が行われ
校長はいつもより語気を強めていた
親戚やクラスメート
近所のおばさんや知らない人
客間いっぱいに詰めこみ
木魚が鳴り始める
肌寒い初夏の頃だった
"魂を後ろ手に閉めた"
それは少女の精一杯の反抗だった
神様に左右され生きるしかできない命を
少女は忌み嫌った
それは個という存在を認めない人への
皮肉でもあった
少女はもう呼吸すら満足にできなかった
命というものを自由に生かしてやれない
少女は嘆いた
心の中で、夢の中で、この詩の中で、
少女はまだ間に合うと信じたかった
けれどもそれは他人によって無惨にも砕かれた
誰も私を知らない
誰も命を解そうとしない!
誰もみな自由に生きている
そう思い込んでるんだ、と
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生きてる
脈打ってる
あなたの目がゆっくり開いて
ああ、見てる
見てるよ
見てる
あなたはストリッパー
私がそうさせたから
あなたを知ってほしくて
私がそうさせたから
ああ、見てる
あなたは見てる
見てるよ
あなたを見てるよ
見てよ
あなたは見てるよ
見ててよ
ずっと見ててよ
あなたを磔
この詩をお前らは見る
あなたを見てる
私がそうさせたから
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私を醜いと笑った人たち
あなたたちは恨まれる
罵詈が世間の総意だと
私は馬鹿馬鹿しいと鼻で笑う
私を素敵だと言った人たち
あなたたちはつまらない
お手頃な言葉に逃げないで
重力より重い言葉をちょうだい
あなたは素敵
死んでいてもきっと綺麗
神の足にすがり付く
無礼を許してあげる
許してあげるんだから
ノックはいらない
魂はすでに開かれている
それは公共の場だ
足を踏み入れる権利は誰にでもある
はず
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僕らは星の妖精です
流れ星に乗って遊んでいたら
この星に来ていました
ここはいいところですね
すごくぽかぽかします♪
昨日はすべり台をしました
今日は砂場で山を作って川を指でひきました
明日はかくれんぼです
隠れるところがいっぱいあるから大変だろうなぁ
僕らはテレパシーで話します
だからこの星のみなさんとは話せません…
だけどみなさんすごく優しいです
おやつをたくさんいただきました
僕らは星の妖精です
お父さんとお母さんはいません
けれど僕らは子供です
ちっちゃな子供です
「いつかコキョウに帰れるよ」
白い人は僕らが寝る前
いつも言います
僕らはここが好きなのに…
悲しいことがありました
大好きなみなさんがいなくなりました
空から青い光がやって来て
大好きなこの星を焼いてしまいました
昨日は絵本を読んでもらいました
今日はひとりです
明日はふたりだといいな
僕はひとりは嫌だな
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路地裏にいるあいつ
あいつは村八分にされた
みんなあいつをいじめた
石を投げて
あいつには居場所なんてなかった
親しいものもいない
あいつの頭の中には
ガラスの檻しかなかった
お前らは言う
孤独であることを誇らしげに
孤独であるがゆえに救ってほしいとさえ
あいつはクリスマスの日にも
石を投げられた
あいつにはもう声らしい声はなかった
ただ頭を抱えて
メサイアは
世界に数人足らずしかいない
そしてそれはここにはこない
神の声が聞こえるなら
本当に聞こえるなら
あなたはここに来て
あいつを抱き締めるはずだろう
あいつは動くことをやめた
声を出すことも諦めた
希望も、捨てた
視界を閉じて
あいつはガラスの檻に入った
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万人の愛に尻尾をふる
可愛らしい人
バラバラにしたら
きっといいにおい
ああ、あなた抱き締めて
食べてしまいたい!
骨までしゃぶるわ
尻尾をふってね
そんなものがほしいならくれてやるよ