| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
僕らは星の妖精です
流れ星に乗って遊んでいたら
この星に来ていました
ここはいいところですね
すごくぽかぽかします♪
昨日はすべり台をしました
今日は砂場で山を作って川を指でひきました
明日はかくれんぼです
隠れるところがいっぱいあるから大変だろうなぁ
僕らはテレパシーで話します
だからこの星のみなさんとは話せません…
だけどみなさんすごく優しいです
おやつをたくさんいただきました
僕らは星の妖精です
お父さんとお母さんはいません
けれど僕らは子供です
ちっちゃな子供です
「いつかコキョウに帰れるよ」
白い人は僕らが寝る前
いつも言います
僕らはここが好きなのに…
悲しいことがありました
大好きなみなさんがいなくなりました
空から青い光がやって来て
大好きなこの星を焼いてしまいました
昨日は絵本を読んでもらいました
今日はひとりです
明日はふたりだといいな
僕はひとりは嫌だな
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路地裏にいるあいつ
あいつは村八分にされた
みんなあいつをいじめた
石を投げて
あいつには居場所なんてなかった
親しいものもいない
あいつの頭の中には
ガラスの檻しかなかった
お前らは言う
孤独であることを誇らしげに
孤独であるがゆえに救ってほしいとさえ
あいつはクリスマスの日にも
石を投げられた
あいつにはもう声らしい声はなかった
ただ頭を抱えて
メサイアは
世界に数人足らずしかいない
そしてそれはここにはこない
神の声が聞こえるなら
本当に聞こえるなら
あなたはここに来て
あいつを抱き締めるはずだろう
あいつは動くことをやめた
声を出すことも諦めた
希望も、捨てた
視界を閉じて
あいつはガラスの檻に入った
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万人の愛に尻尾をふる
可愛らしい人
バラバラにしたら
きっといいにおい
ああ、あなた抱き締めて
食べてしまいたい!
骨までしゃぶるわ
尻尾をふってね
そんなものがほしいならくれてやるよ
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しろいうみ
しろいはた
おとがあると
しんじていたい
かみつたう
はるかかなた
やってきた
あめのつめたさ
ナイフ
たのしみは
ながされた
いろんなもの
もっていたのに
こころがしろく
かがやきもしない
かたちがあると
しんじていたい
もうすぐだれかが
おぼれるころだろう
とびこんで
ぼくもしぬだろう
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魂を後ろ手に閉めた
敬意なんてありゃしない
その仕草
明日に忘れて靴音鳴らせ
羽なんかありゃしない
ふて腐れた
どす黒い唾を飛ばしやがって
クスリでハイになっちまう
この頃天気がすごくいいわ
彼女、話題を探していた
話さなくては生きていけない?
話さなくては呼吸ができない
そして首を絞められた
落日の見果てぬ夢
私は魂を後ろ手に閉めた
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春になったら
桜を見に行こう
弁当持って
木の下で食べよう
夏になったら
海に行こう
新しい水着買って
浮き輪も持っていこう
秋になったら
紅葉を見に行こう
少し遠くまで車走らせて
夕暮れまで見ていよう
冬になったら
雪だるまを作ろう
君の背より高いの作って
傘をさして守ろう
その平凡な毎日を
ときどきの季節を
ふたつとない
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そしてまた
開けたり閉めたり
覗いたり気にしなかったり
人は喜びのときにも
悲しみを思うものです
昔、飛来した知恵によって
人はそれらがどれほど大事なものか知りました
知りました
私はあなたを殺したい
知恵によって
あなたは人間である前に
ロボットです
神様のロボットです
だから敬いましょう
そうしなければ生かしてくれません
ロボットたちは感情を操作し合います
それぞれがリモコンを持っているのです
電池を買うために日々働いているのです
昔、飛来、した
知恵によって
人は喜びを
悲しみを
怒りを
寂しさを
楽しさを
幸福感を
同時にもつ
人はロボットであり
我々は神を敬い
僕らはリモコンを
新しい電池
新しいボタン
働かなきゃ
楽しい
そう生きろ
神様
昔、飛来した
知恵によって
命とは機関であり
感情は同室して
そしてまた
殺したり愛したり
動いたり死んでいたり
人は喜びのときにも
悲しみを思うものです
人は愛しているときにも
裏切るものです
人は呼吸しているときにも
殺されていたりするものです
リモコンによって
あなたはすべてコントロールされています
あなたはすべてコントロールされています
あなたはすべてコントロールされています
あなたはすべてコントロールされています
あなたはすべてをコントロールされています
あなたはすべてをコントロールされています
あなたはすべてをコントロールされています
あなたはすべてをコントロールされています
あなたはすべてをコントロールされています
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夢
限りなく涙を流し
生きている
最も空に近く
最も海が遠い
私の心は漂う
君の心はしかと根を張り
かつて私を連れ去った悪魔
悪魔は私の心をもう捨てただろう
そこは人知れず雨が降り
そこには君がいることだろう
夢
途方もない時間
脈動する魂
輪郭はおぼろげに
触れるには遠い
私の心は止まる
君の心は風に揺れて
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結婚して8年目になる
子供は小学生になり
母は病気で入院する
指輪は棚の奥で静かにしている
妻は以前に比べ料理が上手くなった
上司は禁煙を始める
そしておじいちゃんが死んだ
世界情勢は相変わらず
遠い国で子供が銃を撃っている
ランドセル、筆箱、ノートに運動靴など
この国で子供に与えられるものだ
妻は毎夜家計簿に目を落とし
ため息をついている
結婚して8年目になる
私は何ら変わりない
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"殺してください"
彼女は懇願した
私の前に跪き
顔を隠しながら
私は死を選ぶ神ではない
まして人殺しができる人間でもない
"殺してください"
なおも彼女は懇願する
何がそこまで辛いのか
生きる希望はないのか
そう問いかけようも
彼女の耳は隠れて
その背は丸くなって
もし私が悪魔だったなら
彼女の願いを聞き入れてやれただろう
"殺してください"
彼女の声はいよいよか細く
やがて嗚咽しながら肩を震わす
私はただ立ち尽くすのみで
彼女の恥を捨てた姿を
見つめるしかできなくて──