| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
誰もいない闇の中で
コトコト
スープが煮たってる
2つの器に注げば
見えない誰かとの晩餐
昨日も夢の中で
人に優しくしていた
見えない誰かとの逢瀬
本当のことは隠しましょう
席を立った影の人
引き止める理由が見当たらなくて
何食わぬ顔でスープを一口
吐き気がして残した
今日は5人殺したよ
想像の中で完全犯罪
そしてロープを首に
5回死を選んだよ
誰もいない闇の中で
目をこらして耳をすます
ひとり分の鼓動があって
ひとり分のスープがあって
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月が微笑むと
太陽はにっこりと
そうして月が寄り添うと
太陽は愛しく擦り寄る
もし月が泣こうものなら
太陽は泣くだろうか
ならば今日から泣くのをやめよう
それから太陽は涙を流さなくなった
夕べ
星々はいつもどおり
それぞれの星座で団欒していた
人は子供を寝かしつけ
ある者は酒を飲んだ
海は心穏やかに
波は次の浜を楽しみに
鳥たちは眠りにつき
幼虫は繭の中に
街灯は気休めに
迷い猫を照らした
ひどくありふれた日だった
月が手を振ると
太陽は大きくもろ手をあげて
今度は太陽が手を振ると
月は寂しげに手を振って
それを見て太陽は寂しいと感じた
もし太陽が怒ろうものなら
月は怒るだろうか
ならば今日から怒るのをやめよう
それから月は声を荒げなくなった
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進化は終わった
人類が終わらせたんだ
火星からの使者は肩を落とし落胆した
神でさえ手に負えなかった
人類は酔っていた
だから火星人の話にはひどく怒った
すべて称賛されるべき世界に異議を唱える異端者
それらはみな牢に入れられ
次の日には処刑された
神は見捨てることにした
火星からの使者もまた
人類は幸福の渦中にあったのだ
それがまがい物だと疑いもせず
人類は高々に掲げたよ
滑稽なまでの系譜を
そこに進化はない
人類が終わらせたんだ
可能性という種を
人類は握りつぶしたんだ
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行き先はどっちだ
雲の切れ間だ
漂いながら渇いていく
雨をおくれよ
友達がほしいよ
ひとりぼっち太陽の気持ち
君がいないと
泳げやしないよ
砂漠の船にぶつかって
骨まで砕けたよ
砂に埋もれたよ
見つけてほしいよ
戻れなくなる前に
雲がずっと下に
星がずっとそばになる前に
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日に日に老いゆくあなたを
引き止める手だてはなく
傷だらけの肌を愛しく触れ
あなたは満足そうに微笑むけれど
知っているんだ
鏡の前であなたが泣き崩れる姿を
好きなものを食べられない姿を
冬が来るたびにこの世の終わりのように
閉めきった窓に手をあてて
嘘偽りの話をして
あなたは何食わぬ顔で振り向くけれど
ソリに乗った子供
手を振る母の姿
シボレーにチェーンを履かせ
銀世界に飛び出す若者
あなたは映画を見ているように
じっとしているけれど
知っているんだ
暖炉の火を守る理由を
傍目にしか人を見られない理由を!
煙草の煙が白熱灯にふれて
音もなく消えていく
空のボトルを指で転がすあなたの目は
ダイヤのリングを見ている
知っているんだ
先のわからない死に怯える心を
変わらずにはいられない姿を
あなたは隠しているつもりなんだ
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違う
違うんだよ!
詩が時間であるならば
それは鈍痛だ
勘違いしてはいけない
詩が宇宙であるならば
それは理だ
分け隔てるべきだ
詩は物語ではない
格言とは似て非なる
技術をもってして書くものだ
我々は詩人だ
患者ではない
我々は詩人だ
営業ではない
我々は詩人だ
道具ではない
我々は詩人だ
捌け口ではない
我々は詩人だ
大勢のひとりに過ぎない
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知らない人が
ぼそっと呟く
かき氷の海で泳ごうよ
なぜなら君は
いちごのシロップ
沖まで行ったら
帰ってこようよ
雨が降ったら
友達増えるよ
沖まで行ったら
親友って呼ぶよ
知らない人が
通りすぎていく
ブルーハワイ
そう名乗ってたような
どこまでも澄んでて
嘘のような幻
かき氷の海では
色んな人がいるよ
誰もがみんな
溶け合う海だよ
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カエルの合唱
指揮者のカタツムリ
紫陽花の壇上で
手を叩いて歌いませんか?
今日ほど素晴らしい天気はまたとないでしょう
二本足で歩いた記憶
最近思い出したんだ
その頃歌った歌を
ゲコゲコ一緒に歌いませんか?
喉が潤っていてうまく歌えそうでしょう?
葉っぱを叩くのど飴
紫陽花の壇上に一匹のハチ
ブンブン一緒に歌いませんか?
今日会ったのも何かの縁でしょう
ゲコゲコ一緒に歌いませんか?
手を叩くのも楽しいですよ
今日ほど素晴らしい天気は
歌を歌うに限ります
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あなたを素晴らしいと歌う歌はたくさんあるのに
あなたは死に近い行為をする
あなたを素晴らしいと讃える預言者がいるのに
あなたはそれを忘れてしまう
そして風呂上がりの柔らかい腕に
みっともない傷をつける
あなたはつまらないと罵る悪魔はいても
あなたは死んでいいと囁く冥王はいない
もし他に喜びを見いだせるなら
あなたはそれを肥大させるべきだ
それでもその行為をやめられないのであれば
あなたは深く刃を入れるべきだ
その行為に喜びを見いだしたなら
私はあなたを殺そう
黄泉の坂でその手を振り払おう
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夜毎鳴く鳥が
どこかへ旅立った朝
私はチェストの中の聖書を読み返そうと思った
とても幸せとは言えないけど
今までよりは穏やかになっていたから
親友は影を作らない
足音がうるさいんだって言ってた
ロンドンの雲を風のそりに乗せて
町の上に住まわせてあげた
ねぇお願い
窓を叩く鬼たちの夢
追っ払って?
夜毎鳴く鳥が
ようやく飛び立ったのに
私はちっとも眠れやしないの