| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
商店街に住んでいた友達は
小学生の頃
隣町へ引っ越した
四人で遊んだ児童館は
今も相変わらずだっていうのに
学校へ向かう途中にある橋
そこから見える何でもない景色が好きだった
水面を並んで泳ぐ鳥や
遠くに見える山や
船がぷかぷか浮いている岸
何もかもが当たり前で
手に届くようで届かなかった
世界はあまりにも不鮮明で
アナログな上に歩けば足が痛くて
そう
毎日帰るのが嫌だった
いつまでだって遊んでいたかった
世界はあまりにも刺々しくて
無機質な上にほんのり温かくて
そう
毎日帰るんだ
いつまでも忘れないと心に決めて
ずっと帰るんだ
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ずっと会えない
わかっていたなら
もっと愛せていたし
話もしたし
これでいいのだとしたら
あなたはたぶん
十分幸せだったと言うのだろう
続きのない幸せなんて
さみしいのに
あなたはたぶん
一瞬だから大事にできると言うのだろう
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彼の心に
隠れた魔物が
爪をたてて
何か食べている
甘いのかもしれない
苦いのかもしれない
口をすぼめて
舌を冷やして
彼の心の
廃墟の街に
魔物が一匹
孤独に苛まれ
彼の心に
戸惑うあなた
爪を噛んで
精一杯の思考
"つらいのかもしれない
悔やんでいるのかもしれない
唇を噛んで
手を震わせて"
彼の心の
真っ白なところに
指先が触れそうな
触れられないような
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思うことはたくさんある
夢はどこに行き着くのか
現実に追いつけはするのだろうか
沈むブルー
いつも境界はない
混ざり合っていくのだ
あなたの目には惑いなく
しかも真摯な心を胸に閉まってある
落ち着きのあるその心を
それはブルー
自分を追いまわし
逃げた道を染めていくのだ
虚ろなる夜はいつもある
いつも知らないふりをした
あなたの心に私はなれないのだから
歩くブルー
境界は無きに等しい
それを見ないうちはまだ
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いつまでも腐ってんなよ
世界なんてそう容易く変わりゃしないよ
お前みたいなのがごろごろいたってさ
ずーっとそこにいたんだろう
お前のいるとこだけ埃がないんだもん
大した掃除機じゃないと綺麗にならない?
んなわけない
周りが汚いことを周りのせいにしちゃいけない
お前はその小さな縄張りで
何ができた?
とっとと立てよ
泣いたって
ふて腐れたって
何にも変わりゃしないよ
いつまでも腐ってんなよ
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赤くなるなよ
夜が来ちまうよ
飛行機雲が綺麗だと
まぬけなこと言ってんなよ
旅に出る
見つかんない財布や
恥知らずの煙草を持って
"もうなんだか嫌になっちゃうな"
なんてわざとらしくため息ついてさ
旅に出るんだよ
二人してあの船に乗って
色んなとこでうまいもん食うんだよ
季節に心も変わってしまって
それでも同じように
飛行機雲を見りゃ綺麗だと言い
からかうと赤くなる
旅に出よう
空が暗くならないうちに
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魔法は解けた
甘いフルーツは
悲しみにも似た
酸味へと変わる
今までの記憶に
塵ひとつも映らない
賑やかな夜に
今一度戻れるなら
海のような心をひとつ
空のような感情をひとつ
地のような魂をひとつ
生まれたばかりの純粋もまた
私はこの身に宿したい
それは魔法のようなもの
永遠ではないこと
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悲しみに暮れる
通り過ぎる風や
追い掛ける太陽
捕まってしまう
坂を下れば君の町
それを知ってる二人
夢の中までは風は吹かない
ただ信じる
心がつかまってる
ほろ苦いコーヒーや
少し苦手なサイダー
雨の降らない町
心は夢に捕まる
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君は眠る
幸せそうに
瞼の裏に今日のこと
明日のこと昔のこと
窓から射し込む
星々の光
途切れないように
輝かせてよ
手をとり微笑む
幸せそうに
瞳の奥に映る声が
言葉になって飛び出した
このままずっと
二人でいられたら
いつまでも
君が幸せでいられる
愛するということは
幸せであるということ
君があればこそ
得られるものなんだよ
君が眠る
そのそばで
手を握ることが
俺の幸せだ
あなたにもそうであってほしい
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あの子は家で
積み木で家を
あの子はひとり
家でひとり
大好きな積み木を
赤い積み木を
屋根にするよ
壁にするよ
誰かが住む
ウサギが住む
壊さないように
出掛けたいのに