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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[423] 瞼を閉じれば
詩人:さみだれ [投票][編集]


瞼を閉じれば
君の言葉が聞こえる
ひとりじゃないって
わかってるのに
友達とはしゃいでる
帰り道の声
自転車をこいでる
よそのお母さん
瞼を閉じれば
涙ばかり流れてくる
ひとりじゃないって
わかってるのに


人は誰を思うのだろう
どうして思うのだろう
時々歩いた道を
ふっと忘れるのに


君がまだ見ていない
あの夢を忘れない
窓から見える色が
二度と戻らないと知った
カラスの鳴き声も
電源の入ってないプレーヤーも
心に染み入る穏やかな
悲しみに静かに還っていく
瞼を閉じれば
還っていく




2012/03/17 (Sat)

[422] 詩人の心4
詩人:さみだれ [投票][編集]

言葉にすれば簡単なこと
ただそれに魂を込めるなら
長い年月をかけなければならない
長い間誰かを愛して
初めて"愛している"に心が生まれる
長い間世間を見て
初めて"間違っている"に強さが生まれる

ただ言葉にするだけなら誰にだってできる
できるんだよ
誰にだって

今この詩に魂はない
小さな灯火だけが微かに見えるだけで


2012/03/15 (Thu)

[421] 存在2
詩人:さみだれ [投票][編集]

ショッピングモールで友達と楽しそうに服を選ぶ
その姿を私は知らない
カフェで紅茶を飲む姿も
手を振りながら呼ぶ姿も
"世界は広いね"と
遠回しに出会えたことを喜ぶ笑顔も
そう、世界は広い
眼前にそびえる山を越えることすら
恐いくらいに

勇気なんて言葉は私には程遠い
けれどあなたはその言葉すら忘れるくらい
逞しく生きている
たった一歩を踏み出せることが
どれほど素晴らしいことかなんて
私のようなものにしかわからないのだろう
そう、あなたは素晴らしい
いつだって気丈に振る舞う
その姿が知れたならよかったのに、と


優しい家族に囲まれ
ご飯を食べたり
テレビを見たり
あたたかい布団に包まれ
話をしたり
夢を見たり
そのときどきに私がいたなら
そう、私はいない
夕暮れの終わりに涙を流すことでしか
あなたを感じられない
その交差点にも
学校にも
コンビニにも
電線の上にも
雲の端にも
星の傍にも


そう、私は、いない



2012/03/15 (Thu)

[420] 無題
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いつまでも触れていたい

いつまでもそこにいて

いつまでも話したい

いつまでも笑っていて


いつまでもそばにいて

いつまでも見ていたい

いつまでもこの気持ちで

いつまでもそばにいたい


2012/03/14 (Wed)

[419] 惑星間航行
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水銀の海を泳ぎきったところで
冥王星の神様と落ち合った
それは遠い日の夢
期待を胸に歩き出した今日

"プラスチックの雲は味気ないわ"
スチロールなら似合うだろう
"いいえ、メタルハライドがいいわ
とても映えると思うから"

惑星の序曲をバックに
猫の目銀河は形を変える
すべては始まりにあるなんて
遠すぎてどうしようもないよ

だったらもうすべて!
ブラックホールに捨ててしまおう
行き過ぎた愛情も
溢れ出した信念も
この希望の船も
はるか遠くの惑星への餞に



2012/03/14 (Wed)

[418] 重力を失った夜に
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どこに行くでもない
この感覚が好き
そこにあることが確かなら
もうそれだけでいいや
どこにいようと変わらない
この感情が好き
そこにいることが確かなら
もうそれだけでいいや


(冬が終わる。長かった雪の日も溶けて無くなる。夜明けが早くなるほど眠りは浅くなるけれど、大丈夫。まだなんとかやり過ごせる。)


どこにでも行けそうな
この衝動が好き
そこにあればと願うことが
馬鹿馬鹿しくなるくらい
どこからともなく始まる
この感動が好き
そこにあったと懐かしむことが
馬鹿馬鹿しくなるくらい


(あなたは相変わらずひとりで眠れない。枕を変えても、窓を開けても。どんな思いでいるのかはわからない。たださみしいってことくらいしかわからない。もうすぐ春が来る。もしかしたらもう春なのかもしれない。暖かくなれば眠れるよ。俺がいなくても眠れるよ。)


どこにいくでもない
この感覚が不思議
そこにあることが確かなら
もうそれだけでいいや


2012/03/13 (Tue)

[417] 光明
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鼓動が空の真ん中で
人を見据えて動かない


日常がコップに半分だけ
それだけじゃ動けない


通りすぎる人は
悪魔のふりして強がるさ
今に地の底から迎えの手が伸びるというのに


愛情に背を向けて
誇り高い道化師を避けたよ


心臓は海の底で
いけすかないタコと踊っている


光明が色や形を変え
私たちにはあるはずなのに


あるはずなのに


フラスコに入れて色を変える
金槌で叩いて形を変える


ひぐらしの鳴き声を嫌ったね
年頃の君にはみっともない光景


部屋という箱庭を
あなたは世界だなんて


気づかぬうちに掘り出して
埋めてを繰り返したものは何


黄昏を腕の中に抱いて
人は涙を流すことに快感を覚える


その空一面に広がる鼓動
私は見据えよう


心静かに見据えよう

2012/03/12 (Mon)

[416] 無題
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あの少女が生きた世界を
あなたは旅しているのだろうか

あの犬が温めたコーヒーを
あなたは口にしているのだろうか

あの婦人が憂いに浸る夕暮れを
あなたは見ているのだろうか

同じようにアイスキャンディーの棒を積みながら


あの少年の前世を
あなたは愛してはいないだろうか

あの魔女がかけた魔法を
あなたは信じているのだろうか

あの月の願いを
あなたは叶えているのだろうか

夕暮れの帰路をなぞりながら


彼の夢見た理想を
あなたはもう通り過ぎたのだろうか

彼女の心の内を
あなたはもう知ったのだろうか

愛するもののために生きるというのは奇跡ではなく
ましてや当たり前でもないのだろう


あなたは微笑むだろうか
この夜が青く染まったなら

2012/03/09 (Fri)

[415] 意識の片隅
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私が音を拾えなくなったとき
あなたの声も思い出せなくなるのでしょうか

私が光を失ったとき
あなたの姿も思い出せなくなるのでしょうか

私が音を捨てられなくなったとき
あなたに何も伝えられなくなるのでしょうか

私が心を失ったとき
あなたに何もしてあげられなくなるのでしょうか

もしも私がぬくもりを感じられなくなったなら
あなたの手を握ることができるでしょうか

もしも私が眠れなくなったなら
あなたは目を覚ましてくれるでしょうか

もしもあなたが今そこにいるなら





2012/03/08 (Thu)

[414] 鉄屑
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機械のままで
オイルで満たして
限りない時間を
そこで過ごしていよう
コンベアから
流れてくる歌を
包装するのが
僕の仕事だ
何も感じなくていい
何も思わなくていい
ただネジが緩み出したら
締め直してほしい


暗い思考回路
短絡する景色
赤く染まる頬
ウエスで拭いた涙


スイッチひとつで
寝たり覚めたり
夢を見ることはできないけど
夢を包んでいる
水滴ひとつで
死んでしまうけれど
直せばまだ大丈夫
きっとまだ生きてる



2012/03/07 (Wed)
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