| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
彼女は色を変えて
悲しいけど涙を降らせて
長い長い冬を
ただただ手を温めて
終わるときを待っていた
彼女は時折影を指して
"君は楽しそうだね"
手を広げて
抱き締めてあげたいけど
"触れられないよ"
彼女は毎日のように
決まった道をなぞることしかできない
生まれたときからそうだったなら
生まれたのはどこなのだろう
人知れずそこにあって
消えていくだけなの?
彼女は熱を帯びて
楽しいけど手を振って
裏返しにした気持ちの奥
ただただ胸を押さえて
再び会うときを待っていた
この切なさを
人は拾えるだろうか
この美しさを
讃えられるだろうか
| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
幸せって孤独だね
自分以外のそれを知る術がないんだから
今、あなたが抱いているその猫はどう思ってるかな
今、あなたと歩いているその犬はどう思ってるかな
今、あなたとメールしているその人はどう思ってるかな
今、あなたに育てられてるその花はどう思ってるかな
幸せって孤独だね
誰もみんな心を知らないんだから
ただ無邪気に幸せを求めるだけだから
幸せって孤独だね
その上で幸せを妬むんだ
何も悪いことじゃないよ
その上で幸せを求めるんだ
いつか終わると知っていながら
| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
寝ても覚めても
あなたが笑顔を絶やさぬよう
歩いても止まっても
あなたが涙をこぼさぬよう
暗い夜にも太陽を
あなたが穏やかな気持ちでいられるよう
冷たい朝にも月を
あなたが昨日を忘れぬよう
静かなるときも忙しいときも
あなたが愛するものを愛せるよう
くだらない世も拙い詩も
あなたが息を止めないよう
聞こえなくても聞こえても
あなたが信じるものを信じられるよう
私はあなたに寄り添おう
| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
あなたを詩に閉じ込めて
形の定まらない気持ちに夢を見させて
俺は生きてしまった
死ぬとわかっていながら
あなたを忘れず生きてしまった
あなたを詩に閉じ込めて
あなたを確かなものにしよう
声を与えて生活させよう
あなたを詩に閉じ込めて
あなたがいると信じ込もう
次の夜もあなたを思おう
そうやって何年もたって
年をとらないあなたを抱いて
俺は幸せではない詩を書いている
死ぬとわかっていながら
あなたを思い書いている
もしもこの背に隠れているなら
ふざけて俺の目を隠してくれよ
もしもこの手に触れられるなら
いつだって空けて待ってるよ
あなたを詩に閉じ込めて
あなたがいる夢を見よう
二度と覚めない夢を見よう
あなたを詩に閉じ込めて
形の定まらない気持ちに名前をつけよう
それをずっと抱いていよう
そしたらきっと
俺もあなたと同じ詩にいられるだろう
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詩が聞こえるよ
遠くの方でぽつりぽつりと
耳をすませばいなくなるよ
詩が書けるよ
心の中にある世界を
ゆっくり確かにしていくよ
詩が見えてるよ
遠くの方でゆらゆらと
目をこらせばいなくなるよ
詩が書けないよ
心の中がひっくり返ると
すぐに不安になるよ
詩が待ってるよ
遠くの方ではしゃいでる
手をふればいなくなるよ
(代わりに愛してくれたなら
愛する必要もない
誰よりも悲観してくれたなら
楽しい気持ちでいられる
もっと早くに説いてくれたなら
理解しなくても慣れる)
詩が呼んでるよ
遠くの方で風に乗って
歩いていけたらいいのにね
そこにいてくれたらいいのにね
| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
魂のないあなたの行き先は
白い大理石のお城でも
燃えたぎるマグマの中でもなく
魂のないあなたの時間は
青く澄んだ日の木漏れ日でも
涙を流すための夕焼けでもなく
魂のないあなたの記憶は
温かい食事を前に語らうでも
寒さに震える夜の寂しさでもなく
魂のないあなたを慈しむのは
春の穏やかな太陽でも
抱き抱え乳をやる母の手でもなく
魂のないあなたを閉じ込めるのは
しがない落ちこぼれの少年でも
微笑みを絶やさない老婦人でもなく
魂のないあなたの魂は
言葉の群れに紛れ
永遠に空を仰ぐことはできない
魂のないあなたの心は
世界の外れに在って
この目に映るものではない
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愛しているよ
大事にするよ
毎日頬ずりして
高級石鹸で優しく洗うよ
君の好きな肌触りの布で
そっと包むよ
幸せにする
神様の前で誓おう
僕らの永遠の愛を
流線形の幻に酔い
静かに眠れ下衆共
| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
まぶたの裏に星を見つけましたら
かごの中に仕舞って
そのまま出掛けましょう
どこへ行くかはあなたにおまかせ
さぁ、世界は広いよ!
友達の鳩はお腹を膨らませて
雲になりたかったと言います
隣人の狼は手袋をして
マスクで口を覆いました
ねぇ、君は君だよ
高らかに空に歌うあの子の目
夢の中にまで視界を作り
現実だと胸を張って歌っています
いつまでも信じられるかはあなたにおまかせ
ほら、未来は近いよ!
| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
楽しげな歌を
聞かせてください
自慢の大きなスピーカーではなく
安いイヤホンで
どうか眠りに誘ってください
ひとしきり満足したら
私は穏やかになりましょう
言葉より尊い
その声醜くはありません
本当に醜悪なものとは
あなたの欲するものの真裏に
いつだって佇んでいますから
白く焼けた空を
懐かしく思うわけ
刻まれたものは何も記憶だけではありません
太陽が囁くように
聞かせてください
新しいプレーヤーではなく
無償のぬくもりで
どうか眠りに誘ってください
ひとしきり安心したら
私は心を結い直しましょう
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まばたきができるよ
きみとはなせるよ
あるけばとおくへ
ねむればゆめを
かみがのびるよ
きみがみえるよ
のばせばふれられる
まげればちかづく
おとがきこえるよ
きみをおもえるよ
むねだっておどる
きずつけられる
きみをあいせるよ
きらいにだってなるよ
しにたくもなる
しあわせにもなる
なにかできるよ
きみとおなじだよ
いつでもこきゅうは
つづいてるんだよ
いつでも心は
つづいてるんだよ