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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[385] 無題
詩人:さみだれ [投票][編集]

人間はみんな心に化け物を背負っている
化け物を抑えつけるだけで精一杯の毎日を送っている
人間はみんなその化け物がいつ暴れだすか恐れている
牙を向いて心が食いちぎられないように餌を与えながら
笑っているんだろう
血の涙を流しながら
黙ってそこに座っている

人間はみんな化け物の名前を知らない
たくさんの言語、文化、学問が生まれたというのに
名前で呼ぶことを恐れている
人間はみんな化け物を見たことがない
それぞれがそれぞれの好きなようにイメージすることで
化け物を恐れないように
子供の頃に見た夢の中で
化け物は何も言わず
ただ飲み込もうと
俺を取り込もうと
泣くことも忘れて逃げていた
今日、化け物に水を遣った
化け物はやはり何も言わず
昨日、化け物に目を遣った
化け物はやはり何も言わず

ただ静かに俺を飲み込んでいる
ゆっくりと
確実に

2012/01/24 (Tue)

[384] 無題
詩人:さみだれ [投票][編集]

悪魔の尻尾をもった子供は
夜が明けないうちに魔王にさらわれるよ
知らない部屋の中で
友達になれそうもない猫が丸まって
行き場のないさみしさが
いよいよ羽を生やしたよ
飛べるほど部屋は広くないし
声を出しても猫は喋らないし
角が生えたら終わりだよ
もう元には戻れない
魔王はそんな頃合いを見計らって
外へ放り出すんだ
それはだだっ広い大地と
ひたすら夜ばかりが続く世界
こんなところじゃなかった
悪魔のような子供は
もう元には戻れない
この世界の楽園には程遠い
見知らぬ地へ去っていったよ
僕らの声も聞かず
去っていったよ

2012/01/23 (Mon)

[383] 無題
詩人:さみだれ [投票][編集]

過去に住むお姫様は
慣れない言葉を繋ぎあわせて
お城の庭に埋めました
一年後には芽が出ましたが
お姫様は見ることができませんでした

未来に住む紳士は
落ちた懐中時計を拾おうとして
小さな木の下にしゃがみました
すると太陽がにこりと笑いました
紳士は小さな木の向こうを見ると
なぜだか幸せな気持ちになりました

永遠に住むホビットは
どれだけ待っても大きくならない木を不思議に思って
泉の女神様からいただいたお水を与えました
月がにこりと笑って
大きくならない木は声を覚えました
それからは毎日ホビットと木は歌を歌いました

一瞬に住む王子さまには
友達がいませんでした
不憫に思った召し使いは
お城の庭にある木のお話をしました
王子さまは興味津々に庭へ行って木に語りかけました
"僕には友達がいないんだ
とってもさみしいんだ
ねぇ君は歌を歌えるんだよね
僕と一緒に歌ってくれる?"
ざわざわ、と青い葉が音をたてました

2012/01/18 (Wed)

[382] 夢の終わりに
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気がつけば雲の上で
あなたを静かに見守っていた
そして僕は消えていった
あなたの星になれないまま
光のない夢の中で
小さな影が囁いた
子供のような約束が
僕の目を覚ましてくれる

歩くこともできないから
あなたはそっと背を押して
明るく照らしてあげよう
あなたがさみしくないように
気がつけば空の中へ
あなたを静かに見守っている
"いつまでも変わらないで"
あなたを静かに見守っている

2012/01/11 (Wed)

[381] 明日
詩人:さみだれ [投票][編集]

明日はハンバーグ
それが希望です
明日は新しい靴
それがあなたの希望です
明日には死んでいる
それが理由なら
今日傷つけたことは無意味です
明日なんてわからない
それがあなたの希望です

2012/01/10 (Tue)

[380] 死ぬということ
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難しい言葉を使えば
詩人になれる?
突拍子もないことを思い付けば
発明家になれる?
誰彼構わず話しかければ
孤独じゃなくなる?
同じものを百個作れば
その人になれる?
Fコードが鳴らせたら
ミュージシャンになれる?
もっと頭がよくなれば
お金持ちになれる?
優しくしていれば
優しくしてくれる?
気持ちの悪い言葉を使えば
心配してくれる?
人を殺せば
ひとりになれる?
星に願えば
星になれる?
僕が死んだら
悲しんでくれる?
生まれ変わったら
幸せになれる?

2012/01/09 (Mon)

[379] 断章4
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思い出したよ
月を仰ぐわけを
もういないんだ
夢だったから
もう覚めてるんだ
思い出したよ
生きたいと願ったときを
ずっと一緒だという意味を
もう死ねないんだ
君が一緒だから
そこにいる
君はいつもそこにいるんだ
それだけで幸せだよ、俺は

2012/01/09 (Mon)

[378] 思い合うということ
詩人:さみだれ [投票][編集]

月を見つければ
歩くことができなくなる
あそこにいられたら
どれほど楽だったか
今に吸い込まれそうな
白い光源は
どれほどの闇を背負っているのだろう
俺の後ろにも闇はいる
変わらないのかな
背負っているものは

話をしよう
夜が明けるまで
今日までのこと
明日からのこと
歩きながらでも
輝いていてほしい

2012/01/07 (Sat)

[377] 愛するということ
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世界の夜明け

気持ちの裏

知りえない心

黄昏のように

目には見えないよ

優しさ

手では触れられないよ


眠ったあとに
あなたを恋しく思うのは
時間のせいではない
あなたを起こしてやりたいのは
眠れない心のわがまま


夜明けよりも明るい

黄昏よりも確かな

変わらないもの

信じられるかな

永遠なんてものを

信じられるかな

いつまでも


2012/01/06 (Fri)

[376] 生きるということ
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ガソリンの中眠る人魚
気化していくのは幻想
悲しいのは誰
歌を歌えない彼女
助けがほしいと竜の子は言う
酸素の楽園で
何を泣くことがあるの
火が出せなくていじめられるの
人は可哀想
悪魔にも神様にもなれない
人魚ほど自由には泳げないし
竜のように火も出せない
神様はもっと可哀想
友達がいないから
みんなを恐れているから
生きるって
悲しいし
さみしいし
ただそこにいるだけで
幸せにはなれないし
生きるって
なんだろうね


2012/01/05 (Thu)
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