詩人:さみだれ | [投票][編集] |
感染を予防するには
心を留めておくのが一番でしょう
何しろ厄介な病気で
感染すれば頭痛、嘔吐、幻覚など
様々な症状を引き起こします
なので決して近づかないこと
もし何か必要があってやむを得ず近づくことがありましたら
どうか心を強く握っていてください
ええ、鎖に繋がれるのもよいかと
最近増えてきているようなので
充分ご注意ください
それでは
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あの月が
実は飛行機みたいに
色んなところに行けるものなら
手を伸ばして
掴めないほど遠く
揺らいでいるのなら
自慢げに輝いている理由が
わかるんだと思う
空が転んで
泣いているのが
ほっとけないくらい
お人好しな幽霊と
雲が止まれなくて
助けを呼んでるのが
聞こえないくらい
不安定な学生の
頭の中は広大な原っぱ
ときどき星が落ちている
それが延々と輝いていると気づいたなら
嫌いなものも好きになれそうな気がする
まぶたの裏に隠したビー玉が
見つかってもいいように
生きていよう
ああ、きっとそれがいい
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何の花かはわからない
木や草かもしれない
ただその匂いは優しくて
懐かしい記憶をノックする
帰りたいとは言わない
ただ忘れたくはない
いくつ年をとっても
その匂いを感じていたい
もう現在と未来しか希望はない
だから過去を絶望したくはない
忘れたくないと思えるように生きろ
その匂いはそう言っている気がする
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夕べ
打ち上げた
宇宙船は消えた
どうか
叶いますように
願いを携えて
遠く
おぼろげな星に
晴れて
まぶしい
笑顔も素顔も
たまに
見せる悪魔の羽も
どうせ
その言葉が
すべてを台無しにする
今日も
昨日も明日も
夕べ
打ち上げた
宇宙船は消えた
どうか
帰ってきますように
流星
月の輪
色とりどりの星座
どうか
叶いますように
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生きた詩を書けない
どことなく死んでいるから
あらゆることが残酷に思えて
一色になって
またそのうち光りだすだろう
そう思っていた
それは間違いだった
死んでしまっては生きられない
もう詩は過労で倒れた
二度と覚めることのない夢
見られますように
ただ息だけは止まない
心臓の音も
そのたびに懐かしく思う
生きていた日のこと
詩は体を置いて
魂を飛ばした
そしていよいよ見えなくなる
そう、詩は死んだ
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目の前にある現実を悪く言うことでしか
自分の存在を確認できない
悪いのは世の中じゃない
悪いと思い込んでいる自分
またわからないふりしてる
本当は知ってるくせに
どうなりたいか
どうしたいか
とっくに気づいてるくせに
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神様、夢を見てるなら
消えていく前に触れてよ
ほんの少しばかりの
優しさがあれば怖くない
つまらないものは追い出したよ
二人で秘密のお話
長くならないように
手を繋いで言葉を送るよ
神様、世を見てるなら
すれ違うときは声をかけてよ
わずかばかりの
勇気があれば怖くない
何もないならよかったよ
二人で最初のお話
短くならないように
嘘を並べて本当を隠すよ
神様、今に見ててよ
消えていく前に触れるよ
空になった心の
無限の可能性を信じれば
出会ったばかりでもわかり合えるよ
二人で毎日のお話
いつまでも続くように
神様、お祈りしておくよ
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"あなた"という何かを信じることが
馬鹿馬鹿しくなってきた
"あなた"という何かの輝きなど
太陽のそれに比べれば可愛いものです
"あなた"など私にとっては所詮その程度の存在
だからどうでもいいのです
心などというものは距離や時間には遠く及ばない
無価値なもの
"あなた"という何かが訴える心なんて
飽きたおもちゃのように
いつか捨てられるのです
だからもうどうでもいいのです
"あなた"が生きているという根拠なき存在の認識
つまらない時間でした
無駄な時間でした
"あなた"という何かが私に与えたものは
見えないものを信じるなということ
そして今やそんなことすら
意味のない言葉の羅列へと化しました
"あなた"という何かを信じること
恐ろしい呪い
タイムスリップ
滑稽な人形
"あなた"という何かの輝き
夜にすら目立たなくなりました
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生きたい場所がわからない
生きたい時間がわからない
宇宙はひとりだからさみしい
地球は誰かがいるから煩わしい
できるなら夢
目の覚めない現実
それがいい
捨てる勇気もないし
適応できる自信もない
それらを奪ったのはあなた
大嫌いなあなた
状況が一変
鳥になったなら
風に乗って行けるのに
星になったなら
眠ったまま過ごせるのに
状況は不変
人でいる限り
そんなこと思いながら
人でなければならない
そんなこと思いながら
かじるんじゃなかった
あなたが差し出した知恵
知らなきゃよかった
いつか死んじゃうこと
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ハーブしか育たない星でも
人は生きていた
ウランとヘリウムの大気
それでも生きていた
夫の遺影と子供の走り回る音
灰に近い白の人間
この星にはもう彼らしかいない
それでも生きていた
もしこの星の裏側に
息を潜めて隠れてるなら
出てきてほしい
そんなに大きな星でもないから
出てきてほしい
私はもうここを去る
別れのあとには出会いがある
だから共に生きてほしい