詩人:さみだれ | [投票][編集] |
彼は夢の中
無邪気に遊んでる
好きになったり
離れたりして
彼女は部屋の中
無垢な笑顔が
影を落としたり
甘えたり
記憶の中じゃいつも
二人はレンズの向こう
像が離れて
戻らないよう
彼は夢の中
幸せをかみしめる
好きになったこと
離れないこと
彼女は光の中
闇に抱かれてる
深い眠りのあと
思い出せない
記憶の中じゃいつも
二人は絵画の向こう
息を殺して
動かないよう
彼が彼女に歩み寄る
彼女が彼の手を握る
そんな希望が
無くならないように
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私はあなたが好きです
毎日思ってます
連絡がないとさみしいです
私は好きな人から何かを与えられないと生きていけそうにありません
あなたに会えないと私は泣きます
それだけであらゆるものが醜く映ります
あなたの存在は私にとって悩むべきものです
だから私はさみしいのです
そんな思いをしてなお私はあなたを好きでいます
あなたは私に優しくしてくれるし
つらいときにはそばにいてくれる
私はあなたを愛しています
私は
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さよなら
手を振った
ランドセルを背負った君
また明日
駆け出した
ランドセルを背負った僕
重たくて嫌になったのはこの瞬間
帰りたくなくて嫌になったのは振り返ってしまったから
大丈夫
また学校に行けば
遊べるんだ
おはよう
声をかければ
遊べるんだ
上履きを履く時間だってもったいないくらい
昨日よりもっとたくさん遊んでいたい
久しぶり
手を振った
髪の伸びた君
元気か
歩み寄った
背の伸びた俺
どれだけの時間を無駄にしていても
君といる時間だけは大切にしてきたから
重たくて嫌になったランドセルは空になって
上履きを履かず飛び込んだ教室も無くなって
それでもあの頃と同じ気持ちのままで
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浮き輪のない夜
海には行けないよ
潮の香りだけ
楽しんだりして
お城が崩れないように
見守ったりして
長い時間がたって
誰もいなくなって
それからはただ
ぽつりぽつりと魚が飛ぶ音
見違えるほどに
変わったよ
生まれたばかりなのか
おぼつかない思いやりが
たくさんの人を困らせたよ
たくさんの人が喜んだよ
最後の希望
サンダルが示す
あの軌跡をたどり
今はもう銀河の外
見えなくても手を握って
ゆっくり力を弱くして
ひとりでも平気だって思えたら
軌道は大きく変わる
新しい星の引力
光
匂い
音
それはいつかの海にも似ている
気がする
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よくない天気
グラスに半分
ため息注いで
ソーダで割るの
泡の出口を封鎖
部屋の空気も閉鎖
一人が好きよ、と
鎖国してみるの
けれどノックの音が
雰囲気を駄目にして
曲はまだイントロ
帰ってほしいのに
重たい腰あげて
鍵を回すその手が
綺麗に見えて
見とれてしまうの
よくない気持ち
お風呂に半分
ほぐれた腰に
泡の愛撫
逃がさないように
溺れないように
飽きないように
泣き出さないように
静かな世界
小さな街
一人は嫌よ、と
声を出したの
聞こえないふりばかり
気づかないふりばかり
本当は気にして
そこにいてほしいのに
けれど嘘が得意で
雰囲気を駄目にして
100数えないうちに
出ていってしまう
一人になること
知っているから
一人になること
知っているのに
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あんたらは何か嫌なことがあるとすぐ腕を切るね
薬を飲んで楽しい夢を見ようとするね
あんたらは何かいいことがあると何をするの
くたくたになって見る夢はどうんな感じかな
生きるために腕を切るなんて馬鹿げてるね
プールで死んだふりしてぷかぷかするのもいいね
そうやって生きてるから
死にたくなるんだよ
いつでも死ねるなんて強がりや
いつ死んだっていいなんて諦めは
うまいもんでも食って消化してしまえばいい
忘れてるの
あんたらの身の回りにもあるでしょ
わからないならもういっそ死んでしまえ
中途半端な希望すら切って
死んでしまえ
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コマンドはひとつ
これで奴らは一掃
ゲームの中じゃ
誰にも負けない
仲間なんていらない
邪魔になるだけだ
魔王なんて
ひとりで十分だ
手の中のコントローラ
ボタンはひとつ
AでもBでもない
ボタンがひとつ
コマンドはひとつ
物語なんて必要ない
魔王が最初で最後
レベルは99
仲間はいない
勇者の剣は
振りかざすだけ
勇者の盾は
見た目以上の効果はない
コマンドはひとつ
魔王の攻撃
百度目の全滅
なぜなんだ!?
手の中のコントローラ
ボタンはひとつ
上も下も横もない
ボタンがひとつ
コマンドはひとつ
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ぼろ雑巾のような毛
目は白く濁った
歩くのも面倒で
小屋の中に引きこもっている
たまに言うことを聞けば
ごちそうにありつける
でも撫でられるのは気持ち悪い
噛みつけば叩かれるから
我慢している
逃げないように鎖をしているけど
逃げたあとの生き方がわからないから
逃げようなんて考えちゃいない
俺はもう諦めてる
爪を研ぐことも
手の汚れを落とすことも
ただそこにいて
たまに名前を呼ばれて
悪いことは聞かないようにすれば
生きていけるんだから
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気ままに歌う
熱を冷まして、と
凍りついた海と
溺れかけた人魚姫
船乗りに会えないと嘆く
月の光は散り散りに
私やあなたのもとへ来て
手をとり、引いていく
ガラス張りの星屑の街に
あなたは大丈夫かしら
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そこはきっと暖かくて
音に溢れているんだろう
きらきらしてるのはたぶん
誰かがいるからなんだろう
いつでも触れられるように
痛くない形と心
それでも触れられない僕は
きっと尖っているんだろう
もしもそこに友達や恋人や家族が
手を広げて待っているのなら
今すぐにでも飛び込みたい
ギザギザの形と心
割れてしまわないように
そっと抱き締めてくれるなら
今すぐにでも飛び込みたい
ほんの少しの優しさや勇気で
今すぐにも