詩人:さみだれ | [投票][編集] |
時は重たく
身を削るけど
慈しむ心は
変わらずに
あなたはか弱く
身を焦がすけど
愛しい心は
残っている
時は色を変え
年を取るけど
恋しい心は
若いままで
僕はさみしく
忘れられるけど
愛しいあなたは
記憶の中に
時は静かに
そばにいるけど
慈しむ心は
あなたの中に
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海の音
風の手触り
色の背景
あなたの鼓動
安心したい
幸せだと言いたい
空の中
雲の涙
わからないよ
どうすればいいのか
ひとりじゃなきゃ
わかってたのかもしれない
あなたがいれば
どうにでもなるのかもしれない
魚の歌
鳥のぬくもり
色の主人公
あなたの情緒
安心して
幸せだと言って
砂に涙が
染み込んでいく
輝きはしない
ただ染み込んでいく
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お前はそこにいない
お前は生きてはいない
お前は眠ってすらいない
お前は言葉すら持たない
人間のくせに
なにもない
人間のくせに
おつむを置いて
体だけはくねくね
魚になっている
心なんて最初から
なかったんだよ
笑ってるよ
涙を流しながら
それだって本当は
ないんだろう
お前はなにもしていない
お前は死んではいない
お前は転びもしない
お前は魂すらない
人間のくせに
覚えない
人間のくせに
おつむを置いて
体だけはぱたぱた
鳥になっている
心なんて最初から
なかったんだよ
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私は青いお星さまのもとで
ただ静かに眠りたいだけなのです
青っぽい空のお腹に
包まれて、あなたを思い出し
ああ!それはきっと
とても素晴らしい空想で
私は永遠、夢見ていたいのです
それを叱咤したり
愚かだと罵る者がいようと
私は誰よりも高いところで
誰の声も届かぬところで
静かに眠り続けましょう
しかし誰のもとにも朝は来て
けたたましいノックや
鳥たちの談笑に
目は覚めてしまうのです
太陽は慎ましくあらず
その情熱はどんな氷をも溶かすことでしょう
ああ!それはきっと
とても鬱陶しい世話焼きで
私は永遠というものを失わなければなりません
何も言わず私のそばにある星の
なんと大きなことでしょう
私の体や心などは
すっぽり包まれ
それでもなお広い心
私は永遠、夢見ていたいのです
あの青いお星さまのもとで
ただ静かに眠りたいだけなのです
ああ、それはきっと
とても都合のいい黙りで
私は永遠というものを誰よりも理解できてはいないのです
無条件に訪れる幸福や
無差別に繰り返される生死に
私は誰よりも目を向けたくはないのでしょう
それが私の眠りの理由です
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太陽は言う
月がいないと
さみしくて死にそうだ
僕は雲を捕まえて
優しくしてやりなよと言う
君は星を捕まえて
そばで歌を歌ってあげようと誘う
月は言う
太陽がいないと
輝けない私は暗いのかな
太陽は言う
月がいないと
さみしくて死にそうな僕は暗いのかな
君は歌う
どうか忘れないで
地球の裏側にあなたがいる
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俺は生きている
決して輝いているわけでも
悲しんでいるわけでもない
けれど生きている
そう感じている
人を嫌いになったり
世の中を嘆いたり
そんなことを通り越して
ようやく息を吹き返して
俺は生きている
だから感じている
美しい
眩しい、と
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田園の向こうで
手を振っているのが見える
ゆらゆら定まらない形でも
手を振っているのはわかる
そして僕は手を振る
慣れてないからぎこちないかもしれない
すると田園の向こうで
呼んでるのがわかる
僕は精一杯叫ぶ
一度目は風に
二度目は息苦しさに遮られた
田園の向こうから
すっと消えたのがわかる
そして僕は道を探し
太陽は沈まず照らしている
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あなたは夕暮れにも
月明かりにも似ています
どこであろうとよく映えて
よく笑い苦しんでいます
あなたは天使ではなく
だからこそ素晴らしい心を持っているのです
どうかそのまま変わらずに
忘れずにいてください
そう願ってはいても
あなたは形を変え、忘れていかれます
気づいていたでしょうか
星があなたの頬を染めていたこと
あなたが幸せに微笑んでいたこと
あなたのいない世界が
誰かにとっては死ぬほど寂しいものだと
私はついにあなたを見失いました
それは必然だったのでしょう
あなたの声は懐かしさの彼方へ
あなたの温もりは夢を離れ
あなたの純情な言葉も
日常という部屋の中から旅立ったのでした
それは調律を忘れたピアノのように歪なものなのです
やがて年を経るごとに
あなたは幼くなっていき
やがて私が死ぬ頃には
まだ存在すらないものになり
あなたはいなくなるのでしょう
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いつからそこにあったのだろう
帰れない息苦しさとか
これからの夜のこととか
なんで月は教えてくれなかったのだろう
知らない地名のナンバー
色とりどりのボディ
止まらないことが退屈なんて
思ってもみなかった
ここから見える空は一体
どうやって俺に見せているのだろう
雲が綿菓子みたいで
なのにこの重たい苦い気持ちに押し潰されそう
俺のナンバーはどこへやら
雲みたいなボディは染まらない
こんな夕暮れの赤い
赤い赤い町だっていうのに
帰れない息苦しさとか
これからの朝のこととか
なんで太陽は教えてくれなかったのだろう