詩人:さみだれ | [投票][編集] |
宇宙人がきた
とある国のヘリポートに
どうやら彼らの星では
Hは着陸地点らしい
ビルの警備員はよくわからない電波を受信した
警備員はニヤリと笑い
NASAの携帯番号へ発信した
その日から我々の常識や概念は一変する
テレビではオカルトっぽいものが消えた
生活のあらゆる場面に宇宙人が関わった
アメリカは秘密をなくし
地球の言語はよくわからないやつにすりかわった
なんだかんだで10年近く経ち
地球人と宇宙人のハーフが生まれる頃には
地球と宇宙に国境がなくなっていた
つまり平和である
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できたての皮肉を
さぁお召し上がりになって
バターを塗ればきっと
もっとおいしくなるはず
よければスープのおかわり
妬みをたっぷりいれてどうぞ
熱いのでやけどしないよう
ふうふうしてくださいね
単純な言葉ばかりを詰め込んだ七面鳥を
よだれを垂らして見てやがる
今にも飛んできそうだ
ナイフかフォークかその手か
ワインはいかがでしょう
1944年ものがあります
香りがよく、のどごしも最高ですよ
ありがとうございます
単純な思惑を煮込んだ鍋のふた
誰か取ってはくれないだろうか
三メートルのコックが手に
魚を、野菜を、
ああ!今とんでもないミスをやらかした!
願ってもないチャンスだったのに
ああ!今とんでもないミスをやらかした!
これからのこと考えてたらつい
やっちまった
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ひとりじゃない
頬を同じ色に染めて
空を見ている
うちわを扇げば
知らない誰かにも
風を分けてあげられる
今夜町は休みにしよう
踊ったりして楽しもう
部屋の隅で丸まってる
その手をとって出掛けよう
楽しいことはあっという間
思い出になれば永遠になる
大切な時間だから終わる
終わってまた始まる
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止まらないで回り続ける
いつかの彗星になりたいな
動かないで見守ってる
どこかの恒星になりたいな
ゆらゆらゆれる夜空
手を伸ばしても捕まらない
なりたいものはたくさんあるのに
なれるのはたったひとつだけ
さよならをして遠ざかる
いつかの人工衛星も
よろしくの握手が永遠に
どこかで仲良し連星も
ゆらゆらゆれる夜空の中
ふらり立ち寄った銀河で
すすり泣く声が聞こえた
窓のない部屋の奥
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白銀か黄金か
君はどっちに見える?
透明なんて答えにならない
夜が明ければわからなくなるよ
そのときは太陽の色を考えよう
意味のない日々なんてないのかもしれない
忘れた日々が大切かもしれない
ひっくり返しても同じ色で
けれど君が大切にした色
見間違えたときは
恥ずかしがらずに聞いてごらん
信じられなくなったときは
うつむかずに見てごらん
変わらないようで変わってる
気がついたときでいいから
白銀か黄金か
うさぎかクレーターか
涙を流したのは
僕なのかもしれない
月なのかもしれない
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助けてほしい
万が一、私が自身の重力に耐えられず
迷惑をかけるようなことがあったなら
助けてほしい
気持ちが沈んだまま
夜を明かすようなことがあったなら
躊躇いがちでもいい
手をとって
味気ない世迷い言に絶望し
自らを溺れさせるようなことがあったなら
その爪で私を切り裂き
その脳で私を罵り
殺してほしい
目の前の事象を信じられなくなる前に
なんでもいい
何かひとつ確かなものがほしい
気づかないようなものなら
気づかせてほしい
晴天に伏す
その心の異様なまでに忠実なこと
私は光すら拒むか
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幽霊船のマストに
ドクロは書いてない
色落ちしたのか剥がれたのかはわからない
そもそも海賊だったのかも知らない
永遠にやってこない夏休みの前日
おとといと今日からを繰り返してる
昨日笑うはずだった君も
今日は泣いてる
誰にも触れてもらえない
スカイフィッシュはどこにいる
手当たり次第探してみたけど
見つけられない
これまでの物語の最後のセリフ
どうにかならないかな
消しゴムで消せなかったのは
書きすぎたせいだろう
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真っ白な雲を
雪を踏むようにゆっくり
歩いていこう
真っ青な空を
ベロが染まるくらい
食べてしまおう
真っ赤な夕日を
半分だけ残して
ポケットに仕舞う
真っ黒な空を
思い出の数だけ
彩っていこう
そしたらすぐにでも
真っ白な月を
抱き抱えて君の
枕元に置いていこう
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生まれた後から生えてきた
しっぽのような鋭いナイフ
町を歩けば傷つくばかり
石を投げられ無視をされ
生まれたときからあったなら
当たり前だと思えたことも
生まれたときにはなかったものが
心を切ってぼろぼろにする
丸いしっぽだったなら
可愛い可愛いと褒められただろう
ふさふさのしっぽだったなら
みんなは触りたがるだろう
誰も傷つけないように
ひとりになろうと決めたんだ
自分が傷つかないように
ひとりになろうと決めたんだ