詩人:さみだれ | [投票][編集] |
言葉はどこかへ流れ着く
誰かの思いに吸い込まれる
本当の意味を伝えられないまま
あぶくのように弾けて
言葉はこんなにも形を変える
やわらかいときもかたいときも
本当に言いたかったのは
そうやってまた火が水になるように
嘘を繰り返している
言葉は誰のものにもなる
僕のそばを離れたら最後
会えたときにはぼろぼろになって
本当の意味を忘れている
涙はどこへ行くんだろう
胸に落ちるのかな
その胸に誰かの言葉が
どんな姿で寄り添ってくれるのだろう
言葉は行儀よくしてるかな
どうかお元気で
どうか幸せでいてください
今日も葉っぱの舟で旅に出ていく
長い長い旅に出ていく
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例えば星の明るい夜に
あなたの声を聞けたなら
それだけで昨日の悪夢も
昔の待ちぼうけも忘れられるのです
こんなにも幸せだと感じられることが
あなたのそばにあるのなら
それだけで悲しい歌も
鈴のように鳴るのです
私は私のことばかりを言うでしょう
例えそれは違うと知っていても
私はあなたのことばかりを話したいのです
あなたが私のことを話しているうちは
私は怖いのです
ただ不安なのです
裏切ることはしたくはないのです
だから突き放すのです
私は愛することに人一倍臆病なのかもしれません
例えば星の明るい夜に
あなたの心に触れたなら
触れた手を切り落とし
二度と生えてこないように
包帯を巻くでしょう
おそらく私は私の幸せしか見ていないのかもしれません
こんなにも月は近いというのに
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蜂蜜が垂れてる
月の裏側で
国を持たない人たちが
掬いとってる
生まれたときからの風習
当たり前
毎日が当たり前
海の固体化が進み
太陽は背を向けた
微笑みを欠いた人たちが
飛び込んでいる
生まれてからの非常識
信じられない
それを信じてください
壁から涙が零れるように
星がきらきら輝いて
物に命はないと信じた人が
掬いとってる
生まれたままの常識
疑わないことを
どうか忘れてください
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迷子の子供に自分の詩を見せたところで
その子は泣き止むのだろうか
今にも死にそうな誰かに自分の詩を見せたところで
その人は延命するのだろうか
愛のないセックスの最中に自分の詩を見せたなら
相手はどんな反応をするのだろうか
朝の目覚まし代わりに自分の詩を見せたところで
目を覚ましてくれるのだろうか
夜の眠れない閉塞感に
自分の詩は毒になるのだろうか
死にたいなら死ねばいい
ただそれだけのこと
幸せなら穏やかに
黙っていてほしい
耳に障るの
この詩は
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彼は彼女に惑わされ
夢に閉じ込められてしまった
窓から見える現実にも
彼は見向きもせずに
今もまだ彼女を愛し待っている
年老いたとて
彼は夢を夢と認めはしないだろう
彼女の膝枕で眠り
今もまだ彼女は彼の頭を撫でている
夢を見ているであろう彼の頭を
現実は光となり部屋に入り込み
眩しさに目覚めた彼を
彼女は二度と待ってはいなかった
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いつも優しいから
いつだって優しくなれる
どこにいても変わらないから
どこにでも行けるんだよ
いつもさみしがってるから
いつもさみしくないように
どこにいても呼んでるから
どこかで笑っててほしい
ふとしたときに思い出せるくらい
あなたは身近にいる
年をとっても忘れないように
あなたを思っている
いつか言える日があったなら
恥ずかしくても喉の奥から引っ張り出すよ
いつか言える日があったなら
どこにいたって聞こえるよ
あなたがそこにいるから
POET10YEARS
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鉛色の空の下には
黒とも白ともつかない
悲しそうに流した涙は
雨になることなく
時間があるから死ぬことが怖い
時間がなければ永遠に生きられたかもしれない
心を鋭利に研ぐ
ひとりになりたいがために
丸くなった言葉では
何にも届かないような気がした
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青空に乗って
飛んでく帽子を
追いかける君は楽しそうに
砂に足をとられても
波がかかっても走ってる
つかまえたときに
僕に向かって胸を張る
いつまでも変わらないで
ときどき意地悪に
君を困らせるだろう
そのときはちゃんと叱ってほしい
ときどき下手っぴに
僕を困らせるだろう
そのときはちゃんと言うから
いつまでもそばにいて
青空に乗って
飛んでく心を
追いかける君は楽しそうに
つかまえたときに
僕にくれた心を
大事にしまっておくよ
いつまでも笑っててほしい
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海の中で泳いでる
水面を凍らされて
息継ぎができないまま
とうとう魚になってしまった
さかなの絵を
書いてる少年の顔
曇ってる目の奥に
ひとが歩いてる
空の上で泳いでる
雲が汚れきって
同じ景色に飽きた頃に
当然鳥になっていた
土の中で泳いでる
アスファルトで真っ暗になって
目が慣れないまま
ついにもぐらになっていた
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悲しみを奪ってまでも
守りたいものってなんだろう
言葉を潰し歩いてまでも
得たかった幸せってなんだろう
古いものが偉いと思ってても
新しいものが輝いて見えて
いつのまにか真っ黒の瞳の中に
星がちらちら散っていた
間違いだなんて決めつけても
正しいことは怖くて言えない
言えないなら表しようがないよ
そんなことなら黙ってていいだろう
ただそこに立ってるだけで
生きてることになるのなら
誰だって死ぬことはしないだろう
さみしさを紛らせてまでも
守りたいものってなんだろう
嘘をついた口を洗ってまでも
気にしていたものってなんだろう
大切にしてないものほど
助けてもらってるものだろう
大切にしたいものほど
目に見える場所にあってほしいだろう