| 詩人:さみだれ | [投票][編集] |
悲しみの向こう側
君を誘っていけるなら
ため息で聞き逃した
あの歌だって思い出せるから
だから、ほら
泣かないで
今は、ほら
こんなにも明るい
羽が生えたあとのこと
考えてばかりじゃ苦しいだろう
輪になることが怖くて
思い切って手を繋げたら
そこに、ほら
誰かがいる
今は、ほら
こんなにも明るい
悲しいのは僕もそう
誰かのために生きたいのに
よくない夢ばかり見て
本当は違うって言いたいのに
君が眠ってる夜のこと
忘れてしまわないように
ため息で聞き逃した
あの歌だって歌えるような
ちょっとだけのよくないこと
思い出したなら
どれくらいかかっても
君はきっと思い出せなくなる
だから、ほら
泣かないで
今は、ほら
こんなにも明るい
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昨日までの嘘が本当になったなら
明日からの夢が現実になったなら
いつまでもこんなふうに
いられはしないんだろう
手が足りないくらい
幸せだと言えるなら
足が追い付かないくらい
理想が早いなら
迷わずにいられる
そのままでいいだろうから
雲の隙間に塗った
青色の向こう側
君は気まぐれに
どこへ行っても変わらない
太陽のそばに撒いた
青色の向こう側
君が神様に
会いたくて飛んでるなら
迷って間違えてばかりの僕を
どうか許してほしい
今日の奇跡が奇跡じゃなくなるように
見失ったりしないように
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あなたが本を読むそばで
私はうとうとしていたい
ページをめくるその度に
やさしい風が吹くように
物語の主人公になって
あなたがいなくなってしまわぬように
私はあなたのそばにいて
あなたを感じ眠りたい
いつか私が太陽も
月も気にしなくなったなら
それはあなたのせい
あなたがいれば世界は変わる
あなたが心を閉ざしたら
私はきっと悲しむ
同時にあなたのそばにいることの
その大切さがわかるだろう
私がすべてを失ったなら
あなたは悲しむのだろうか
何も持たない私のそばに
あなたはいてくれるだろうか
あなたが空をあおぐそばで
私も空をあおぎたい
風が吹くその度に
あなたは小さく微笑んだ
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海のない丘の上
ふたりだけの秘密基地
立てた旗は不格好
海賊のつもりなんだ
朝はパンをかじって
布団を干して
午後はお茶を飲みながら
おしゃべりしよう
晴れた日は出掛けよう
海ではしゃごうよ
雨の日はてるてる坊主
たくさん作ろうよ
いつか船を作って
世界を回れたら
不格好な旗を立てて
どこまでも行こう
いつでも帰れるように
名前をつけておこう
いつでも君が笑えるように
変な名前にしよう
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眠れないよ
息も苦しい
この手はいつもの
いつものあいつだ
どうしたって
眠れないよ
教えてほしい
息の仕方
しっぽを引っ張りな
ベロが飛び出すぜ
爪をかじれば
目玉飛び出すぜ
今にも滅びそうだ
全細胞の戦争
髪が逆立つほど
しびれる君の足
眠れないのをいいことに
夜を敵に回してやった
なぁ今何時なんだって
聞いたら月が降ってきた
今にも化けてしまいそうなほどでっかい誘惑
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誰かの不幸せになるから
私は人になつきません
誰かの邪魔になるから
すりよっていきません
私はいつもひとりです
これからもそうでしょう
いまさらふたりになれません
あなたの悲しみになるから
私は壁を作りました
あなたの汚れになるから
透明になりました
誰にも知られないように
私は生きることでしょう
五感のすべてを閉ざすのです
そこに喜びがあるから
目を瞑っているのでしょうか
そこに幸せがあるから
足を止めているのでしょうか
私は今どこにいて
何をしているのだろう
そこにあなたがいるから怖いのです
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知らない町の
知らない人
僕は帰れなくなったよ
優しいのは誰
優しくしてるのはなぜ
わからないけど
なんとなく嬉しいんだ
嵐のあとに青空が
何食わぬ顔でいてくれたら
きっと嬉しくなるだろう
この夜は君の
君の言葉を思い出して
怖がらないように
たったそれだけでよかったんだ
それ以上あるから嬉しいんだ
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四畳半の部屋の隅で
丸くなった月
暗がりの中でも輝けない
風が強くて
窓も開けられないから
迎えもこない
もうだめだ
そう思ったときに
君が鍵を開けて
ただいまって言うから
おかえりって
つい返してしまったよ
四畳半の部屋の隅に
テレビを置いて
部屋の真ん中で
君と朝まで話すよ
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君が待つ世界
僕が待つ世界
同じ空気があって
同じ空の色があって
なのにどうして交わらない
冷たい壁を作る
君がそこにいるってわかってるのに
今から眠るよ
君と同じように
同じ時間に
同じ場所で
会えるように
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段々畑の最上に
かかしがぽつり胸を張り
いけない烏を脅してた
腰の曲がった婆さんに代わり
いけない烏を追いやった
藁の奥の枯れた心が
芽を出す頃には
段々畑は平らになって
いらないいらないと引っこ抜かれた
根を張る思いも知らぬ人
烏に脅され困ってる
腰の曲がった婆さんの代わり
それがかかしの存在意義
だからかかしは眠ったよ
ようやくかかしは眠れたよ