詩人:さみだれ | [投票][編集] |
海のない丘の上
ふたりだけの秘密基地
立てた旗は不格好
海賊のつもりなんだ
朝はパンをかじって
布団を干して
午後はお茶を飲みながら
おしゃべりしよう
晴れた日は出掛けよう
海ではしゃごうよ
雨の日はてるてる坊主
たくさん作ろうよ
いつか船を作って
世界を回れたら
不格好な旗を立てて
どこまでも行こう
いつでも帰れるように
名前をつけておこう
いつでも君が笑えるように
変な名前にしよう
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眠れないよ
息も苦しい
この手はいつもの
いつものあいつだ
どうしたって
眠れないよ
教えてほしい
息の仕方
しっぽを引っ張りな
ベロが飛び出すぜ
爪をかじれば
目玉飛び出すぜ
今にも滅びそうだ
全細胞の戦争
髪が逆立つほど
しびれる君の足
眠れないのをいいことに
夜を敵に回してやった
なぁ今何時なんだって
聞いたら月が降ってきた
今にも化けてしまいそうなほどでっかい誘惑
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誰かの不幸せになるから
私は人になつきません
誰かの邪魔になるから
すりよっていきません
私はいつもひとりです
これからもそうでしょう
いまさらふたりになれません
あなたの悲しみになるから
私は壁を作りました
あなたの汚れになるから
透明になりました
誰にも知られないように
私は生きることでしょう
五感のすべてを閉ざすのです
そこに喜びがあるから
目を瞑っているのでしょうか
そこに幸せがあるから
足を止めているのでしょうか
私は今どこにいて
何をしているのだろう
そこにあなたがいるから怖いのです
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知らない町の
知らない人
僕は帰れなくなったよ
優しいのは誰
優しくしてるのはなぜ
わからないけど
なんとなく嬉しいんだ
嵐のあとに青空が
何食わぬ顔でいてくれたら
きっと嬉しくなるだろう
この夜は君の
君の言葉を思い出して
怖がらないように
たったそれだけでよかったんだ
それ以上あるから嬉しいんだ
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四畳半の部屋の隅で
丸くなった月
暗がりの中でも輝けない
風が強くて
窓も開けられないから
迎えもこない
もうだめだ
そう思ったときに
君が鍵を開けて
ただいまって言うから
おかえりって
つい返してしまったよ
四畳半の部屋の隅に
テレビを置いて
部屋の真ん中で
君と朝まで話すよ
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君が待つ世界
僕が待つ世界
同じ空気があって
同じ空の色があって
なのにどうして交わらない
冷たい壁を作る
君がそこにいるってわかってるのに
今から眠るよ
君と同じように
同じ時間に
同じ場所で
会えるように
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段々畑の最上に
かかしがぽつり胸を張り
いけない烏を脅してた
腰の曲がった婆さんに代わり
いけない烏を追いやった
藁の奥の枯れた心が
芽を出す頃には
段々畑は平らになって
いらないいらないと引っこ抜かれた
根を張る思いも知らぬ人
烏に脅され困ってる
腰の曲がった婆さんの代わり
それがかかしの存在意義
だからかかしは眠ったよ
ようやくかかしは眠れたよ
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たくさんの思いや願いを
君の顔や名前を
一緒に持っていけよ
星までは遠いだろう
月まで行ければ十分だから
音が消えてなくなるころ
散り散りになる人の群れ
君の匂いまで持ってったみたい
悲しい思いも
さみしい思いも
ヨーヨーに詰めて
ぺちぺち打ちながら帰ろう
救った金魚のこれからを
夢見て歩いて帰ろう
鳥居をくぐればまた明日
明日にはまた会えるから
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声を聞かせてよ
どこからでもいいから
話がしたい
長い時間がかかっても
一瞬のことを笑い合おう
もし魔法にかかって
僕が犬になったら
ワンと吠えるから
たとえ応えてもらえなくても
応えてみせるよ
たったそれだけ
心が優しくなるから
君のことも
まっすぐ見つめられる
話がしたい
長い時間がかかっても
一瞬のことを笑い合おう
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働くのが嫌だから
旅に出るの
めんどくさいことはないことにして
とにかく旅に出るの
嬉しいことや楽しいことを得るために
旅に出るの?
嬉しいことや楽しいことを得るために
働くのが嫌だ
風呂に入らないで綺麗になりたい
水を上げなくても咲いてほしい
好きにならなくても愛してほしい
ほしいものを得るために
働くのが嫌だから
旅に出るの
誰かのための道化には
付き合っていられない
旅に出る支度が嫌だから
働くことにする